⑥ 末吉宮
さて、車は那覇まで戻ってきました。みなさんご存知かと思いますが、那覇市内は琉球王国の首都、ということで、寺社がたくさんあります。というより、想像以上にありますよ?
という訳で、戻ってたからにはゴンゴン攻めて行きます。
那覇市内1ヶ所目は、広大な末吉公園を見下ろす丘の上に鎮座する、末吉宮。正月三が日、込み合う大きな寺社を避けて初詣できる穴場です。
天気がいい日は、頂上目指して公園の未舗装路を気持ちよく散歩できるのも、ポイント高し。もしかしたら、この長い道程自体が参拝路なのかもしれません。無数の樹木に清められて、拝殿を目指しましょう。
末吉宮跡の碑。
そしてまた、跡の碑。
なんでも3回やれば面白いと思ってるんだろ。
とにかく跡の碑が多い。今よりも、やたら昔を主張する傾向の末吉宮。昔の末吉宮はさぞ立派だったんでしょうか?
この末吉宮。15世紀に建立され、かつて琉球王国時代には、王府の力を背景に持ち、物質的にも権威的にも、それはたいそうなものだったそうです。しかし琉球処分で王府が消滅した後はその勢いは衰え、大戦の前には見るも無残な状況であったとか。そして最後は砲撃で爆散してしまった・・・と。栄枯盛衰、まるで平家物語の平氏の歴史を辿ったかのようです。
おぉ!
ついに社務所が見えた・・・と思ったら、開いてないし!この時点で御朱印は望めません、ゴーーン。。3年前の初詣では開いているのを見たんですが、普段はいないんですね。宮司さん、普段は何をされているんでしょうか。
(後ほど、三が日しか開いていないとの情報が入ってきました)
そして。末吉宮と言えば、この立派な礎石。今の拝殿は爆撃後に残った磁石の跡に建てられているのですが、この様子からも王府時代の権威がいかに大きかったか推し量ることができます。
石段はめこみウコール?専門用語で言われても、一般人には何のことやら。
お賽銭箱が拝殿よりだいぶ手前にあります。ウコールは礎石のことなんですね。お三方、もっと分かりやすく!
末吉宮より、うららかな晴れ間広がる午後のひと時。
すごい!将来沖縄に帰ってきてね!!
というわけで、こちらには御朱印なさそうな様子です。無いと分かった後の、なが~い未舗装の道のりは心にこたえます。。道に迷って、公園側から来たのが運の尽きだったのか。
⑦ 沖縄神社
末吉宮の参拝路で汗臭くなった我々は、すぐ近くの沖縄神社を目指します。
・・・が、すでに不安要素もりもりです。と言うのもこちらの神社、ヤフー地図で見つけリストアップしたのですが・・・
こちら、ヤフー地図。
私の道路地図とカーナビでは、その存在が確認できないのです。
最新の道路地図を見よ!!
あの安慶名神社ですら、載っていたのに・・載っていたのに!!
ともあれ、
沖縄神社のある、弁ヶ岳(べんがだけ?)公園に到着。住宅街に突如現れる小山に位置が示されているのだが、果たして・・・。
ここが沖縄神社であることを示すものは、何一つありません。そう広くはない粗土の敷地を取り囲むように、小さな拝所?が散在しているだけです。比較的最近うちかびを燃やしたような形跡がかしこにあるので、神事等の際には地元の人たちがここで何か行うであろうことは想像に難くないですね。
ところで土木技術師である友人は、しきりにその場の地面を踏みしめて首をかしげていました。
「土がスカスカしてる。地滑りの可能性が否定できないな。元々下に何かあって、土を盛った感じがするけど、気のせいかな?」
こちら側の斜面下は、校庭と住宅のない平地。もしかしたら、本当にそうなのかも・・・??
ところで沖縄神社のある小山は真ん中を道路が走っています。道を挟んで神社の向かい側に気になるものが。
綺麗に手入れされた沖縄独特の植栽に囲まれた、立派な塀と門。非現実的な風景に内心、大興奮。
朱塗りの鉄格子ががっちりとはめ込まれています。反対側の神社との格差が・・。
写真ではうまく撮れませんでしたが、門の向こうには、頂上へ向かう手入れされた未舗装路がありました。年に数回、この門が開いて厳かに神事が執り行われるんだろうなぁ。イマジネーションを膨らませてしばらく脳内再生してみました。
神社ではなく、こちらは間違いなく御嶽。
立ち去り際、門正面から横に移動していくと、驚愕の事実を発見。
!!!!!
ザルだった!!!!!
門構えだけ立派だけど、誰でも奥に入れるんじゃないか!!ナニ、何のためにあるのこの門??神事の時だけこの門が開いて、ここをくぐるることができるの?それとも門を開くと山から神様が出てくるの??
沖縄神社は、神社だけでなく反対側の御嶽も謎が多い場所でした。興味深い場所なので、日を改めてもう一度調べてみたいですね。
⑧ 識名宮
那覇に帰って、まだ一つも御朱印をいただけておりません。というより、現在八つ回って御朱印二つ。もう少し、頑張りたいところ・・・!
というタイミングで、琉球八社の一つ、識名宮にやってきました。ここではいただけるのではないかと内心期待しております。根拠など、ない。
この日初めて来た私でも、何か普段の神社とは違う空気を感じていました。
と言うのも、
鳥居の前の道路で、旗を掲げ、白い布を広げるたくさんの男性。参拝路に入りきらず、鳥居周辺を埋め尽くして、皆が道路まで移動してきたのです。
破魔矢を手に指示を出しているのは宮司さんでしょう。
偶然隣に立っていた男性に事を尋ねてみると・・・
「今日はね、御神体の引越しの日なんだよ。お社を新しくしてね。今年は伊勢神宮の式年遷宮の年で、たまたま一緒になったんだよ~。本当は伊勢神宮みたいに20年に一度お社を新しくできればいいんだけど、お金がないからさ。今回は40年ぶりくらいじゃないかな?地元の人も、一生に1度くらいしか見られないんだよ!」
地元の方も一生に1度しか立ち会えない、非常に稀で重要な日にやってきました。よその私なんかが居合わせてしまうこの偶然よ。「御朱印欲しさの寺社巡り」という煩悩の塊で本当にすみません。
ゆらりはためく識名宮の旗。
「識名宮の宮司は、普天満宮の宮司が兼ねてるわけ。今あそこで指示出している人がそうだよ。僕も普天満宮からこの日のために来てる。神社自体は全く別のものなんだけどね。」
全く別だけど兼ねているというのは、どういうことなんでしょうか。神事に就く人が減っているからなのか。
「横の公民館から、新しいお社が見られるよ」
とのことなので、ちょっと失礼しまして・・・
何もかもが真新しく、ピッカピカの本殿(兼拝殿)。神様も新築の家の香りで浮き足立っていることでしょう。ところでその神様はと言うと・・・
封鎖された参拝路の奥、ぽつんと寂しそうに御神体が安置された棚。今しばらくお待ちください!!
バタバタととても忙しそうで、神社自体が本来の形式をなしていません。残念ながら、御朱印のこと聞くこと、叶わず。
ただ、普段宮司さんがいないとすれば、ないと考えるのが妥当でしょう。
本来、ないはずの場所にある賽銭箱。ここは参拝路の道半ば!
御朱印がないとなれば、長居はいたしません。そそくさと立ち去ろうとすると、説明をいただいた男性から一言。
「そういえば君、神社巡りしてるの?さっき普天満宮に来てたでしょ?」
「・・・!!」
正に、神は、私の煩悩まみれの行動をご覧になっているということであったか・・・。
⑨ 天久宮
お次は、とまりん近くの天久宮。外人墓地から少し入ったところにあるのですが・・・。
駐車場をバックに、立派な鳥居がお出迎え。左下が参拝路のようですね。
??公民館に来たんだっけ??
近所のおじぃやおばぁが集まって、ゆんたくしそうな雰囲気だな~、地域の神社なんだな~、と思ったら。
左側の建物は拝殿でした。しっかりお祀りされています。見たところ、沖縄の神社のご神体は鏡が多いようでしたが、こちらは御簾で隠されており、その姿をうかがうことはできません。でも、多分鏡だ。
天皇陛下もいらっしゃったと!?さすが由緒正しき琉球八社。公民館とか言ってごめんなさい。
拝殿の隣に祀られているのは弁財天。ご神体の鏡が見られます。
さて、社務所にやってきましたがテレビの音が奥から聞こえるだけで人の姿は見られません。窓口には縁起物がたくさん置かれてあるのですが・・・
「すみません!こちらで御朱印いただけますでしょうか?」
窓口に顔を出したのは、おじぃと呼ぶにはまだ早い、60過ぎの初老の男性。今日は暖かいので半そでポロシャツですが、この方が宮司さん??
「すまないね~、今は御朱印やってないんだよ。昔は他に人もいたんだけど、今は自分一人でさ。御朱印書くとなると別の場所から呼び戻されることもあったから、もう出来なくてね。大きなスタンプ台もあったけど、もう使えないさ~。ごめんね。」
そうでしたか。でも、
多分こちらにはないだろうと思っていたので、気には留めませんよ。
・・・ん??
御神酒が2種類。泡盛と日本酒。なんか珍しいですね。沖縄は特別に2種類の御神酒が用意されてるんでしょうか?
「泡盛は少し薄めのね。御神酒は子供も飲むことがあるけど、日本酒の方が口当たりがいいからさ~。それで2種類置いてあるわけ。2種類置いてあるのはうちだけだよ。暇だから!(笑)」
そ・・そうでしたか。お心遣い、感謝します。
御朱印をいただけなかった代わりに、みかんとお菓子をいただいてしまいました。天久宮は、とても気さく!
⑩ 恵比寿神社
地図上では、安謝交差点から新港方面にある恵比寿神社。
えっ?分かりづらい!!
車も入れないような民家と民家の狭い小路の先に、鳥居が見えます。少し小高い場所にあるおかげで別の道から見えるのですが、まるで周囲の家々に守られて、ひっそりと佇んでいるかのようです。こちらも地域の神社なんでしょうね。
シーサーと門松の組み合わせには未だしっくりこない、沖縄8年目。
境内に到着。右手が社務所。
「あい、こんにちは~。おばぁ、いるね?」
と言わんばかりに、普通の家。すごい!どう見ても社としてではなく、民家の造り!!色んな意味で沖縄っぽい。
とは言っても、中にはしっかりお祀りされています。御神体の鏡がピカピカに磨かれており、とても綺麗。普段、家(失礼)の扉が閉められているからでしょうか?
そして鏡の真正面に供えられているのは、サーターアンダギー。さすが沖縄の神様は、舌も沖縄なのですね。
参拝が終わり、社務所を覗くと3人体制。もしやと期待したところ・・・
「うちは沖宮の下にあたるわけ。御朱印もらいたかったら、沖宮まで行ってちょうだいね。」
なんと!波上宮を頂点に琉球八社の体系が整っていると思ったら、その下にもあったんですね。これは意外な事実。となると、これまで、そしてこれから行く神社の中には琉球八社の体系に組まれたところがまだあるかもしれないってことでしょうか。
ともあれこちらの御朱印は、沖宮でまとめていただくことにしましょう。
さて、これまで10箇所もの寺社を巡ってきましたが、未だ御朱印は二つのみ!この旅の行き着く先は!?光明は見出せるのか!?それとも早朝から車を出してくれた友人の労力も併せて、全て徒労に終わるのか!?
御朱印を巡る旅は、
まだまだ続く。