裏話 せめてあと1度は行きたい!農連市場取材記 ~後編~

2015年04月19日 09:17

前編の、続き。(そういえば市太郎はパン屋あたりで合流してますね)


 今回の農連市場まちま~いは、他のまちま~いとは違って同じ場所を複数回通過することがあります。
 とは言っても、まるで退廃的な迷宮とも言える農連市場の建物内は、道や方向が得意でない人からすると間違いなく何がなんだかでしょうね。




 ちょっと分かりづらいけど、ここはじゅーしーや稲荷を扱うお店。
 ガイドさんが、「沖縄ではチキンと稲荷!」と豪語していましたけど、やっぱり豆腐文化が稲荷寿司を沖縄に浸透させたんでしょうかね。

「ほら、食べなさい!」

 おかあさんが一人に一つ、稲荷を振る舞ってくれました。市太郎は申し訳ない気持ちになったのか、じゅーしーを一つお買い上げ。

「まるで押し売りしたみたいじゃないの~!」

 隣の店から投げかけられる声に、慌てふためく市太郎。
 でも、人と人のつながりって、こうして形作られていくものなんでしょう。




 次の店ではてんぷらが振る舞われる。
 これ、まちま~いしながら朝ごはんしてる状態だな・・・。終わったらどこかに入ろうと思ったけど、そんな気もなくなりました。ここはもらい食い、買い食いがセオリーなのかも。



闇に続く階段・・・

ガイド「ここはストレッチしないと登れない階段です!ほら、踊場がないし急でしょ?一気に登らないといけないからね~」

 いや・・・途中で足を止めるという選択肢はないのですか。
 話がそれるんですが、うちの職場のごく一部に、『階段する』がブームです。朝出社して職場のある10階まで歩くという、起き抜けの体に鞭を打つようなこの行為。前を歩いている男性を後ろから追い立てるのが非常におもしろく、10階までの間に何人抜けるかが一つの話題になります。
 男性にはやはりプライドがあるようで、女性に抜かれた瞬間背筋が伸びる人や、追いつかれまいと急に1段飛ばしで歩き始めて引き離そうとする人など、人間模様の観察は朝一番の楽しみになっています。
 ・・・私も同僚も、趣味が悪いですね!!






 通過していきましょう。



大袋入りの野菜きた!


もやしの大袋。3kg、350円也!

 記事でも触れているんですが、沖縄は昔から台風や夏場の渇水もあり、天候に左右されない室内でのもやしが重宝されたそうです。沖縄の食堂でやさい炒めを頼むと、半分近くがもやし炒めだったりするんですが、つまりもやしは野菜の代名詞だった、ということなんですね~。
 でも、沖縄のもやし工場ってどこにあるんだろう・・・。存在感とは裏腹に、生育環境は日陰者なもやし。


とにかく、


もやしの存在感のでかさよ

牧「もやし、めちゃくちゃ安いですね!」

おかあさん「そうでもないさ~。最近は原料の値上がりがあるからよ、ちょっと前に値上げしたばっかりなわけ。でも、もうやがて380円になるさ~・・・。」


 そう言って、なんだか寂しそうなおかあさんの姿が印象的でした。


沖縄のもやしはだいたいヒゲ取りされてる。今でもこの作業は女性の仕事らしく、ないちゃー嫁がヒゲ付きで調理して姑に激怒されたという話も聞いた。文化の違いだよなぁ・・・




 記事内では、露店の出店料金は一日300円と記載しましたが、市場内には構えた店舗もあります。こちらの利用料もやはり格安で、一日450円也。
 格安の金額設定でないと、後継者不足もあり市場に出店しようとする人がいなくなるからだとガイドさん。
 これだけ素晴らしい雰囲気のある市場なんだから、例えば日中に雑貨等で出店したい人を集めれば、観光客を呼び込めるスポットになりそうな気もするんですけどね。



値段のないお惣菜たち

 農連市場の一番の特徴・・・それは、相対売り!!
 今はだいぶ廃れてしまった感もありますが、こうして商品に値段がないと買っていいのか迷ってしまいます。
 以前は仕事で毎日心理戦を展開した経験もあるんですが、基本的に私の心臓はネコくらいしかないので、プライベートでこうした駆け引きはしたくありません。東南アジアとか行ったら、見事にぼったくられるタイプでしょう・・・いや、損するのが大嫌いだから、何も買わずに終わるかな・・・。



本当はここで朝ごはんしたかったけど、おかあさんたちのカメーカメー攻撃でお腹いっぱいなので、断念。またいずれ・・・


何かあったら、草木と共に建物もガープ川に崩れ落ちてしまいそうだ!


 AM7:20。市場はかなり静かになり、反対に街は目覚めて喧騒が聞こえる時間になったところでまちま~い終了です。ガイドさん、朝早くからありがとうございました・・・。

 最後に一つ。記事の最後の方に触れた、農連市場取り壊し後の青写真について。



農連市場跡に建設予定の近代的なビル

 これはひどい。
 ちょ・・ちょっと待て!!沖縄って、かなり長い間バリバリ開発・再開発しまくってるけど、乱立したら共倒れになるんじゃないの?地元の人は、本当にそれを望んでいるの?結局、一部のカネのある人間の短期的な利益のために街が変わっていってるだけじゃないの??

 沖縄の魅力って何なんでしょう。
 私はこれまで、このサイトで自分自身が魅力的だ、面白そうだと思った箇所を取り上げてきましたけど、それはやはり沖縄の自然、文化、人に関するものがほとんどだったかと思います。
 はっきり言うと、開発・再開発された場所には全く魅力を感じませんし、訪れることもほとんどありません。もうすぐオープンするライカムとか、誰かが行こうと言わない限り、足を運ぶことはないでしょう。

 かつて東京で5年半生活したことがありますが、東京で遊ぶと言えば、新名所のビルに行ってブラブラして、ちょっと買い物して・・・どこに行っても同じような感じで、東京での遊びに心が満たされた経験をほとんどしたことがありません。
 唯一、上野の美術館・博物館と浅草周辺は今でもお気に入りの場所なんですが、ある種の満足を得られたのはバイクに乗って自然のある場所まで出て行った時くらいでした。

 ・・・このままだと、沖縄は自ら沖縄のよさと、沖縄ファンを手放すことになってしまう。
 気づいていないはずがないのに、こうした開発を行う行政には、もっと賢明な判断をしてもらいたいと思わずにはいられないのでした。



 この日は早起きがきつかったのに、結局残業三昧で、帰り着いたらもうグッタリでした。
 今度は土曜日の朝に行こう・・・取り壊しになる前に、せめてあと1回くらいは・・・。
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