会場の外の道路までやってきたところ、お山の麓には延々と続く路駐の嵐。
今回のイベント会場は勝山公民館の敷地内なのですが、この敷地は普段駐車場の役割も兼ねています。ゆえにイベント会場の駐車場は道端しかない、路駐オンリーという素晴らしい状況が発生していました。
私も駐車場係に導かれ、路駐して会場へ向かいますよ!
今回やってきたのは「勝山シークワーサー花香祭り」という、すぐ近所のシークワーサー加工会社が主催しているようなイベントのように見られるのですが。
小さな地方の更に地方イベントなので人が密集しているというほどではない。今はね
シークワーサー関係の出店が多いのかと思っていたところ、このイベントで目立ったのはメインであるはずのシークワーサーではなく、
ヤギ汁売ってる
ここでもヤギ汁
あまつさえ・・・
この小さな会場内の3店舗でヤギ汁が販売されている。
10あるかないかの出店のうち、3店舗も商品が被っているのはヤギ汁しかありません。
読者のみなさんはヤギ汁の香りをかいだことがあるでしょうか?わずかでも鼻にツンとくるあの強烈なヤギの香りがこの会場全体に満ち満ちているのです。
ヤギ汁が苦手な私にはなんだか落ち着かないぞこの空間。。
そして会場の奥に進んでいくと・・・・
子ヤギが草をはんでる
こっちでは角を突き合わせるオスヤギが
ヤギ汁の香りだけでなく、生ヤギの香りでも会場は満ち満ちていたのです。
ヤギって本当に不思議な生き物で、汁になった時の香りも生きてる時の香りも全く同じなんですよね~。
そりゃヤギ好きの常套句、「生ヤギ見たらヨダレが出る」ってのもおかしくないな。
何か売ってるのか?なんか箱がある
牧「すみませーーん、何かやってるんですか?」
女の子「抽選券売ってますー。一枚300円でヤギが当たる抽選券売ってますーー。」
ほう。
黒島の牛祭りもそうだったんですが、沖縄ってこのテのイベント好きですよね~。
牛は言わずもがな、ヤギだって当たったところで大半が飼えるわけがないのに。。
牧「300円でヤギ?へぇぇ、ちなみにどこコなの?」
女の子「あれですよー。」
あっらーー、カワイイ!!
母親のお乳を離れてしばらく経った頃でしょうか。
ヤギは草を食べ始めると肉が臭くなると言いますし・・・・まさにこれ、
食べごろってやつですかね。。
ネタで抽選券買ってみるのも考えたんですが、宝くじ1万円よりも格段に当たる確率が高そうだし、当たってもイナカの一戸建てじゃあるまいし飼うことはできぬ。
ここは賢明に財布を出すことは控えておきました。
さて。
これだけヤギ汁や生ヤギばかりでまるでシークワーサーの存在感のない「勝山シークワーサー花香り祭り」。
シークワーサーとヤギの関連性って何かあるの?という疑問はすぐ後に解明されますので、メインイベント行ってみましょう!
丸い鉄パイプで囲まれた小さななにかの空間・・・
そう、オスヤギ同士の真剣格闘、
ヒージャーオーラセー!!
ヒージャーオーラセーはまだ娯楽の少なかった時代にヤギ飼育者同士の遊びとして生み出されたもので、勝山に限って言えばその糞はシークワーサーの養分にも使われていたらしい。
なるほど、勝山シークワーサー祭りで主役のシークワーサー以上にヤギ祭りな理由は、
「シークワーサーはヤギの糞よりいづる」ということであったということか・・・。
以前
うるま市に闘牛を見に行った時は「流血してるし痛そうだし二度と見ないっ」と思ったものですが、多分ヤギって相手の体を突き刺して血だらけとかそんなじゃないと思うんだよなぁ。
それに沖縄以外でヤギの決闘って見ることできないだろうし。
開始予定時間の20分前から柵の前に一人陣取る私。
観客が徐々に集まってくる中、ついに本日の猛者たちが入場・・!
あっ!?
なんか、ヤギ連れてこられたと思ったら
何のアナウンスもなく始まってた。
何の前触れ無く静かに始まるもの・・・・これがヒージャーオーラセー・・・。
結構激しく組み合ってる。
テントの下でどっかりとイスに座っているおじぃの一人がマイクをもって解説を始めた。
おじぃ「ヤギがね、尻尾ふりながら角突き合いしてるでしょ。それは本気じゃないわけ、遊びでよ、楽しんで闘ってるって意味なわけさ~。」
闘牛は頭もかち割れるし血まみれになるから本人(牛)たちは絶対楽しんでないと思うけど、ヤギは結構余裕ぶっこいてるってわけですか。牛と比べたら気楽なもんですねぇ。
後の賞品・・もとい若きメスヤギがオスヤギの闘いを見守る
彼女は近くの人からエサもらったり、たまに闘いの様子を観察したりでまるで自由な柵の外。
メスって争わなくていいので気楽といえば気楽なのかな。男女もつれ込んで愛しい人の奪い合いをするのは、果たして人間だけなのかも?
おじぃ「最初は尻尾が元気だけどね、疲れてくると下がってくるわけよー。それをよく見てくださいね!」
闘牛の流れからすると、必殺の一撃をくらうか疲れて組合いに耐えられなくなれば尻尾巻いて逃走=負け、となるはず。さて、それは一体いつ訪れるのか・・・
あれ??
明確な決着が付く前にアッサリ回収された。時計を見たところ10分ほどしか経っていない。ヒージャーオーラセーもタイムスケジュールの中で動いているからこれ以上はダメってことですか。
10分じゃオスヤギの体力は尽きないということですね。
そうこうするうちに第2戦開始
イメージ的にですけど、白ヤギ同士の対決が見てみたかったのでこれは嬉しい。
ガラガラド~ン!
果たしてどれだけ楽しませてくれるのだろうか・・・。
あっ!あっという間に敗走か!?
実力差があるからか何なのかわからないけど、一頭はあまりこの闘いに乗り気ではないご様子。
それでもオスにはやらねばならぬ時があるのか、彼はついに立ち上がった・・・!!
動画を見ない方のために、以下おいしいところだけ切り出し。
き・・きたぁ!!
ッッカーーーーン!!!
これぞヒージャーオーラセー!!!
ヒージャーオーラセーといえば、高く振りかぶって(?)からの角の突き合わせ!写真だけでも結構な迫力ですが、目の前でのぶつかり合いの凄まじいこと。オスヤギの猛烈な勢いと、角と角のぶつかり合う激しい音に観客は大興奮。ぶつかりあうたび歓声が湧き上がります。
・・・そうね、私的には
”ホーンアタック”って命名したいくらいですね。RPG中盤のザコキャラが起死回生に放つ必殺技みたいな感じで。
そして互いにやりあうこと、しばし。
あ、最初やる気だった方が膝をついた!
どう見ても不利な態勢です・・というより人間に例えるならば、これは土下座のように見えなくもないのだが。
おじぃ「ヤギはね、膝をついたら『負けました、降参です』って意味なわけ。はい、この勝負はここで終了~~」
やっぱりそういうことでしたか。。
それにしても当初やる気のないヤギが勝つなんて、予想を覆す終わり方もあるもんだなー。
そして第3戦が始まったわけですが・・・
両者、即座にもつれ合いの展開に
この二頭はかなりやる気なご様子で・・・
ッッカーーーーン!!
回が進むに連れてヤギの大きさも増していく。
やはりデカいと迫力が違う!こっちを動画に撮っておくべきだったなぁ・・・。
さて、最前線でイスもないまま膝立ちで50分ほどオーラセーを見ていた私の
膝はそろそろ限界で、第5戦半ばにして最前線から撤退。
ヤギさん主催者さん・・・今日は念願のオーラセーを本当にありがとうございました・・・。
あ。
そういえばコレ、「シークワーサー花香り祭り」でしたね。
シークワーサーのジェラートあったみたいだからそれ食べて退散するか。
そう思って勝山シークワーサーの出店にやってきたところ、
牧「オ・・・オートー!?なにそれ聞いたことない。。」
「沖縄でも希少な柑橘です。」というキャッチコピーにまんまとのせられてしまい、
当初の目的をすっかり忘れてオートーのジェラートを買ってしまいました。
味は、そうですね・・・旨味と甘みを半分ほど捨てたシークワーサーみたいな感じとでも言えばよろしいでしょうか。シークワーサーの方が確実に美味!間違い無し!!
今回200円払って得たものは、喉の潤いと「オートー?食べたことあるよ!」って言える経験値、、、ということにしておきましょう。
ところで会場である勝山公民館の敷地には、「羊魂碑」なるものがあった。
食べられてきたのヤギなのに羊とはこれいかに。。
と思って調べてみると、沖縄では「羊」でヤギを意味するらしいです。日本語で「車」と書くと中国語では自転車を意味すると聞いたことがあるのですが、もしかしたらそんな感じなのかな。何度だって言うけど元々日本じゃないわけだし。
この碑は1962年に建てられて、6年ほどは実際に鎮魂祭が行われていたんだとか。
うん・・ちゃんと供養しないと宮古島の片脚ピンザーみたいに化けて出てくるかもしれませんしね。
自分たち、そして先祖が自らの命をつなぐためにいただいたその命に感謝し祈りを捧げるのは、少し昔のこの国の精神そのものだなぁと、思い直した勝山シークワーサー花香り祭りでした。
更に時間を少し遡ります。
この会場にやってくること1時間ほど前。
前々回の記事でもチラリと触れたのですが、この日の午前中は一人嘉津宇岳でタイムトライアルをしてきました。
本当はこの日は友人たちと登りにくる予定だったんですが、前日かなり雨がふったため、悪路を想定して止むなく中断。しかし試しにその悪路は果たしてどんなものだろうかと思い立ち、山に足を踏み入れたところ・・・
濡れた石灰岩に足をとられ、
盛大に右膝をぶちつけるというろくでもない結果に終わってしまったのです。
友人を連れてこなかったという決断は正しかったけど、登ったという結果は間違っていた・・・数日間は足がふるえ、自転車にも乗れないほどのダメージを負ってしまった初春の一コマでした。