バックヤードに入ればアクリルガラスはないけど、それでも水槽の中はまるで遠い憧れの世界。
一度でいいから、あの水槽で泳いでみたい。
掃除係でもいい、ピエロでもいい。
あの水槽で魚たちに囲まれた幸せな時間を過ごしてみたい・・・!
中でも巨大なジンベイザメの魅力は群を抜いてますよね。
たくさんの人を驚かせ、次の瞬間笑顔に導く様子が大水槽の入り口では次々と繰り広げられて、彼らには不思議な魔法の力があるんじゃないかと思うほどです。
特に海が好きな人なら、ジンベイザメと泳いでみたいという、淡い憧れを抱くことも多いんじゃないでしょうか。
つい最近までは、ジンベイと泳ぐなんて夢のまた夢だと思っていたんですが、ある日その話は舞い込んできたのです。
ジンベイザメと泳ぐことができる場所がある、しかもそれは沖縄だという情報が!!
知人が連れて行ってくれるということで、即その話に飛びついてきました。
知人に連れられて、やってきたのは読谷村の読谷漁港。
この漁協の建物の1階に、ジンベイザメツアーに連れて行ってくれるショップ、トップマリン残波がある。
漁港に向かい途中の看板にもジンベイがいた。至るところでジンベイ推し。
私の参加するツアーは午後1時から。
時間もあるので、読谷漁協直営の鮮魚店でまずは昼食といきましょう。
漁協直営の海人食堂。
泡瀬漁港(沖縄市漁協)のパヤオ直売所と同じくらい有名な漁協の食堂。
規模は少し小さい印象を受けるが、モズク丼530円、マグロ丼630円と泡瀬と比べると
かなりリーズナブルなんです!
泡瀬は絶対観光客価格だ・・・。
口の先が切られたダツ。なんだかシュール・・
普通食卓にあがることは考えにくいツバメウオ。味わうのは、観賞魚が食べられるという背徳感か!?
以前食べたことあるけど、焼くより煮つけがベターとふんだ。
3人とも海人丼をセレクトしたうえ、マグロ、ソデイカ、ツブ貝の刺身にてんぷらを追加。
目にも美味しく食べて舌鼓を打つが、
これがその後の悲劇の布石となるとは・・・なんとなく、予想していました(笑
食事も終わり、お喋りしていると1時前に。
時間が近づきなんとなく緊張してまいりましたが、いざ、トップマリン残波へ!
トップマリン残波は沖縄本島に4か所の店舗を構えるショップで、ここは残波店。(多分、本店)
店内には各店舗がウリにしている海の様子がポップに掲載されています。
読谷漁港の沖合にはジンベイ飼育用に、直径30m、高さ15mの大型定置網が水深約3mが頭になるように仕掛けられてあるらしい。
ただ、
ジンベイってデカいですからね・・・知人曰く、網に入っているのは5m級とのことだけど、ホワイトボードに描かれた図を見ても、この網に2匹のジンベイはちょっと窮屈そうな感じがします。
さらに、ジンベイは最大14mほどに成長するので、そのまま飼ってたら
監獄同然。
う~~ん・・・色々と疑問が湧いてきますね。
集合時間になってもまだ人が集まらないので、お店の人に少しお話しを伺ってみました。
―ジンベイザメのダイビングはいつから始まったんですか?
「事業主体の読谷漁協が17年前に、美ら海水族館から技術提供を受けて、いけすで試しにジンベイザメを飼ってみようというところからスタートしたんです。だからその頃からだね。ジンベイを飼うにはエサ代が大変だから、うちがエサをあげて事業としてやってるわけ。」
―17年前って、かなり昔からなんですね!じゃあ、ジンベイダイブができるのは日本でここだけなんでしょうか?
「四国や伊豆でもジンベイザメが網にかかって、似たようなことをやってるような話は聞いたことがあるんだけど・・・でも、
元祖は間違いなくうちだよ!」
漁協の壁もジンベイ推し・・・と言いながら、引き締まったいい体していたお兄さんを狙ってパシャリ。ごめんなさい。
―今5m級のジンベイが2匹入ってるみたいなんですけど、何歳くらいなんですか?
「ジンベイザメは50㎝で生まれて、1年15㎝成長すると言われていてね。そこからの推測になるけど、5mで25~30歳くらいかな?
それと、このジンベイザメは漁業に使っている大型定置網にかかったやつなんだけど、5mくらいのものが1年ごとに入れ替わるんだよ。この網で畜養(捕まえた魚を大きくするために一時的に飼うこと)して、美ら海水族館から声がかかったら美ら海に納品してる。声がかからなかったら逃がして、また新しいのを入れて・・・だね。
他に、定置網にかかった
マンタも美ら海に卸してる。
ウミガメもかかるんだけど、それは水族館が自家繁殖させてるから美ら海には行かない。
マダラトビエイは、同じく大型定置網を仕掛けている国頭漁協から提供を受けているんですよ」
―大きいジンベイがかかったらどうするんですか?
「以前、7.8mのものがかかったことがあるんだけど、さすがにそれは逃がした。大きいと搬送が大変だからね!」
―最後に、これから新しい事業展開の計画はありますか?
「そうだね。今漁協では、
マンタダイビング用のいけすを造ることも考えてるよ。これからどうなるかな!?」
―出港前の貴重なお時間をありがとうございました!
なるほど。つまりこちらで見られるジンベイザメというのは、
・漁協の定置網にかかったもので、時期がくると美ら海水族館に提供されるが、海に還される場合もある。
・網内のジンベイザメは1年に1回交換されるので、網が手狭になることはない。
・
エサ代がバカにならない
ということなんですね!
さて、人も集まったので説明が始まります。
まずは出港して、プログラムが全て終了するまでの説明映像が5分くらい流れます。
ツアーはスノーケル、体験ダイビング、FANダイビングの3種類。
今回はシュノーケルなんですけど、
スキューバはライセンス持ちの人だけジンベイのいる網の中に入れます!
せっかく
高いお金払ってダイビングするなら、絶対いけすに入れる方がいいと思いますよ!!
ガイドさんの説明が終わり、いざ、沖合に出港!!
ラーメンができるほどのわずかな時間で、定置網の目印であるブイが見えてきました。
ライフジャケットを着用し海に飛び込み、海中を覗いてみると・・・
これが定置網か・・・!
ジンベイがいるという網の向こう側には、たくさんの魚が泳いでいる。
でも、どう見ても網の目より小さいんだよな・・・ここにいると食いっぱぐれがないから棲みついているいるに違いない。やつらは野性を失っているのか。。
そして波間にプカプカ漂うこと数分・・・。
おおおおお!!!
青く濁った深淵の世界から、ゆったりとその巨体を現したジンベイザメが、多くの魚たちを従えながら浮上してきました。
1匹だけコバンザメついとる。いつも思うんだが、かゆそう。
ガイドのお兄さんが大量のオキアミでジンベイを誘導し、目の前まで引き上げてくれる。なのでシュノーケルだからジンベイが奥まって見えない、なんてこたぁないっ。
しかしジンベイのオキアミを食べる時の吸引力、マジ
ダイソン級。
シュノーケル組は網の上で浮いているだけなので、物理的にはジンベイと網で隔たりがあります。
でも、同じ海に漂うもの同士、気分的には目の大きな網なんて物理的障壁に感じることは全くありません。感覚的には、同じ空間を共有しているのと完全に同じなんです。
ああ・・・私いま、彼らと同じ場所で同じ時を過ごしてるんだ・・・。
網の中から立ち上る、FANダイブの気泡。
お金もないし素潜り派の私ではありますが、生まれて始めて、スキューバライセンス持ってる人を羨ましいと思いました。
せっかくなので、今回は動画を用意しました!
あまり綺麗に写らなかったけど、臨場感を味わってください。
そして最後の最後に、網ギリギリまでジンベイがあがってきたのです・・!
たっち☆
触った!ジンベイに触った!!
生まれて初めて、生きたジンベイに触れたんだ~~~!!!(グローブ越しだけど)
この時一緒に来ていた妹は、「本当にサメ肌やったわ~。」と興奮してましたけど、残念ながら肌触りの分からなかった私の感想は、
「魚肉ソーセージみたい」でした。
発想が残念すぎる・・・。
最後、海中に去る時は魚にもみくちゃにされてたジンベイ。
バイバイ、心躍る時間をありがとう。
・・・まさに夢のような、あっという間の30分。
海好きかつディズニーに夢を抱かない私にしてみれば、
定置網での時間はディズニーを遥かに凌ぐ夢のひと時でした。
あぁ・・・これは私の経験だけにしまっておくのはもったいない。
たくさんの人に経験してもらいたいなぁ!!!
海が好き、ジンベイザメと泳いでみたいという方は、ぜひ読谷の沖に繰り出してみてください!
沖縄での所得ではちょっと勇気のいる金額ではありますが、この経験と気持ちはきっと一生モノになるはずです。
ところで。
海からあがった後の私・・・。
実はこの日、急に降り出した雨の後に一気に波が立ち、海上でも船上でも大酔いしました。
海上で3ケロ + あがって4ケロ = 合計7ケロ (食事中の方はごめんなさい)
これを危惧して昼は食べすぎないようにと気を付けてたんですけど・・・知人のカメーカメー攻撃に耐え切れず、結局全ては魚のエサに帰してしまいましたとさ。
賢明な読者のみなさん、海に出る前は食事の量に気を付けてくださいね。
トップマリン残波
〒904-0305 沖縄県中頭郡読谷村字都屋33 読谷村漁業協同組合内B1
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読谷漁業協同組合 海人食堂
営業時間: 10:00~16:00(鮮魚店は9:00~18:00)
休 日: 不定休
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