与論島の道は、わかりづらい。
この規模の島なら地図さえあれば揚々とどこにでも行けそうだけど、前述のとおり道の数は多いし幅の大小もないというか。初めて上陸した人間が目的地に辿り着くのは容易ではありません。
多分だけど、それが理由で観光客のために大事な分岐点には番号の書かれた標識が立っている。地図上にもこの数字が記載されているので、道々を行きながら幾度となくこの数字を確認しました。
与論島を楽しめるのは、全くこれを考えて設置してくださった方のおかげです。多謝!!
これなーんだ?
与論民俗村で、まるでタコさんウインナーのような果実を発見。
おじぃ「この木はパパイヤの雄なんだけど、花が咲いた後で急に実がなってね!稀に雄が実をつけることがあるけど、雌の木になる実みたいに形よくはならないみたいだわけ。」
雄なのに子どもができるというパパイヤの奇跡!!すぐ隣は雌の木なので、動物界によくある必要にかられた性転換ではなさそうなんですが、一体何が彼を孕ませたのだろうか・・・。
与論島、6月23日20時
ほぼ夏至だけあって20時を過ぎてもまだ仄明るさのある与論島の空。
宿から徒歩5分の小さな海辺に転がって空を眺めていると、徐々に雲も切れていきほぼ満点の星空が。ちょうどこの日は新月なので真っ暗な空をバックに映えるクズほどの星を期待していたのですが、予想外にも南の低い空はいつまでたっても仄明るい。あれは名護市か、はたまた基地か・・・。
お宿は全て建物独立型
一泊夕食付で5,000円なので、ロッジというより民宿な”ビーチランドロッジ”。一見すると普通の民宿だけど、緑に囲まれているだけあってすごい。何がって、
主に生き物なんですけどね。
まず一つ目に、蚊がハンパない。部屋で蚊取り線香焚かないとドアの開け閉めと共に必ず蚊どもが侵入してくる。
エサの私、恐怖。。
二つ目。
二日目の朝、目が覚めて足元の敷布団を見たところ、ある物体が。
そこにあったのはネズミの糞。
すぐ足元に降りてきていたのだとしても、頭上から降ってきたのだとしても、いずれにせよぞっとする事実。
そして三つ目、朝ごはんにと前日買っておいたパンが・・・
見事なまでに蟻まみれ。。
一口だけ食べてみたけどやっぱり食欲が失せて全部捨てる結果に。
そして四つ目、最大の驚きは三日目の朝に訪れる。
”おはようございます♪”
おおおおおおおおおおおお!!!!!
目が覚めたら
私のタオルケットの上で毛虫が添い寝してた。
これまで何度朝を迎えたか分かりませんが、
これほどまでに戦慄した目覚めはありません。
私は一度寝たらあまり寝返りを打たない人間なので今回助かったのかもしれませんが、もし普通の人間だったら惨事に見舞われたかもしれませんよ!?
前述3つまでは耐えられる。
しかし、4つめは、ダメだ。。
宿のおじさんはとってもいい人なんですが、上記のとおりなのでこの宿はお勧めできません・・・皆さま、与論島に行く時はくれぐれも宿選びを間違いませんように。。
宿のおじさん曰く、「砂が小麦粉のようだ!」という島の北側、寺崎海岸に到着。
ここの砂、確かに白くてサラサラはしているけど、まぁ小麦粉は言い過ぎですね。ちょっと色のついたグラニュー糖が雰囲気的には近いかも?
砂もいいんだけど、この、緑と白砂と青い海、青い空に立ち上る巻雲という一枚絵が素晴らしいの一言。
ここでは少し泳いでみたんですが、リーフ内に取り残されたタマンの群れが圧巻でした。意外とやりおる与論のインリーフ・・・
スプリンクラーと牧草。島の一大産業はサトウキビだけど、畜産が台頭してきて一部は牧草地に変わっていっているそうです。頑張れ、補助金に頼らない産業!
街中では決して見かけない琉球弧のズアカアオバト。緑のボディ、青いクチバシ、そしてまだら模様のお尻がチャームポイント
寄り道が楽しい与論島散策。堤防があると思わず寝転ばざるをえない
本日は大潮。
島随一の名所、百合ヶ浜が一番大きく見えるタイミングを狙おうと時間調整しながら向かいます。百合ヶ浜は、久米島のハテの浜と同じく潮のよく引く干潮にしか現れない、海上に浮かぶ白砂洲。海流で砂が移動するため、見えるたびに形が変わるらしいのですが、果たして今日はどんな顔を見せてくれるんでしょうか。
その前に、地図に記載されている百合ヶ浜の説明文を見てください。
「星砂を年齢の数だけ拾うと幸せになれる(以下略)」
これ見た瞬間に、
「年取るほど幸せつかむのは難しいんだよw」という意図だと瞬時に理解。せっかく非日常楽しみにこの島に来てるわけだから、こうして現実を突きつけるようなジンクスを示さなくてもいいのに!
・・・いや、私の性根が歪んでいるのがよくないんでしょうね。
というわけで、百合ヶ浜に到着。
結構な数の人間が、白砂の上に黒いアリのようにたかっていました。それはまるで、今朝見たパンにたかるアリ・・・。
瀬渡しおじぃ「おねぇさんたち、百合ヶ浜に行こうよ!ホラ、こっちこっち。」
ちぃ「牧さぁん、どうしますぅ?」
牧「ああいうのって、その場に立つより外から眺めた方が綺麗だよね。別に2,000円だから金額で躊躇しないけど。」
ちぃ「見てくださいよ、砂は真っ白で日陰一切ありません。絶対に暑いですよぉ!」
牧「どんくらいいるかな・・・30分かな・・・」
ちぃ「私もうこれ以上陽射し浴びたくありませぇん!!」
牧「わかった。おじさん、ごめん!ここから見るだけにさせて!」
というわけで、
とりあえず百合ヶ浜に来たよって証拠写真だけ残しておきました。
牧「あ、百合ヶ浜から船が帰ってきてる・・・」
ちぃ「見てくださいよ!潮が引きすぎて砂浜まで船で戻ってこられないんですよ!」
牧「知らずに来たら往復ずぶ濡れだなぁ・・・。慣れないとリーフ内は歩きづらいだろうし、大変。」
百合ヶ浜に行くなら、ギリギリ渡れるくらいがいいかもしれませんね。今回のように潮が引きすぎると白砂洲だけじゃなく、周囲の岩礁も出てきてしまうので美しさが半減するし、瀬渡しの船に乗り降りするのがちょっと大変。大潮ならド干潮から2時間くらいは外しましょう。
ランチタイムも過ぎ去った13時30分頃、百合ヶ浜で商売しているおばぁに教わり近くの鮮魚店にやってきました。
バラックだけど、意外にも種類が豊富
まずはランチ用に寿司を二人前ゲットし、ついでに夜の酒の肴にと刺身を吟味。
アバシ?
おお、ほぼ沖縄ぽいけどちょっと違う!ハリセンボンやネブミフグは沖縄では"アバサー"だけど、与論では"アバシ"なのか。それでも沖縄本島、宮古、八重山それぞれの言葉ほどは遠くなさそうだな。
こちらは"イラブチャー"が"エラブチ"。
与論は沖縄のように語尾を伸ばすことはしないようですね。
私はノンアル、ちぃはオリオンビールで遅いランチを終えたら、ウトウトとお昼寝タイム。そこにタイミングよく小雨が降り始め、大地も冷えていい具合・・・
と思っていたら天が怒り狂ったかのような豪雨になり、プレハブの寝所は2時間ほど轟音に見舞われてしまったのです。こんな時くらい気持ちよく寝かせてください水神様。。
雨上がりの散歩路に浮かんだ虹は大層美しかったんですけどね
ところで、この島の物流はどうなっているのでしょうか?
島最大と思われるスーパー、コープに入ってみると、牛乳コーナーには鹿児島の名を冠する商品が並んでいました。コンビニには沖縄産の牛乳も見られたので、沖縄か鹿児島、どちらの企業と取引するかで変わってくるのかも。
ちなみにジーマミー豆腐などの沖縄らしい食べ物もほとんど見かけず。これもやはり米軍による分断が招いた結果なのかも。
6月25日、14時。鹿児島を出発して那覇を目指すマリックスラインのクイーンコーラルが入港してきました。
クイーンコーラル・・・なんて懐かしい響きなんだろう・・・。
以前
奄美大島での日本ウミガメ会議の記事の冒頭で触れましたが、私は大学生の時、この船に乗って鹿児島から奄美大島に一時上陸し、那覇港まで向かったことがあります。
鹿児島から南下するに従って徐々に色を明るく、濃くしていく海の様子にそれは胸が高鳴ったものですが、あの時からもう15年も経過してしまったんですね・・・。取材自体はゲッソリするものでしたが、この”クイーンコーラル”という響きを耳にするとたまらない懐かしさが蘇り、今でもきゅぅんとなります。
それでは乗り込みますか!
お疲れのちぃをベッドに残し、懐かしさで一人船内散策をする私。
一般客室の4階と甲板の5階を見終え、下を目指そうと3階に下ってみたところ、何やら異様な臭いが鼻をつき、そして・・・
はあぁぁうう!!!
目の前にした光景と臭いに仰天してカメラを構える余裕もなく4階へと逃げ帰ったのですが・・・。
3階で見た光景。
それは、船内でも最も広大な2等寝室という名の雑魚寝部屋でひしめき合う、
陸上自衛官たちの姿だったのです。
私が一瞬にして抱いたイメージは、ズバリ"難民船"でした。
あくまでもイメージだけど、ひしめき合い加減が、それは見事に・・・
石垣島に住んでいた頃、海上自衛隊の護衛艦の船内見学をしたことがあります。
若手自衛官「給料は同級生の誰よりもいいんだけど、彼女ができなくてね~。男ばかりだし陸に上がるのも久しぶりってことも多いし、だから港の風俗事情に詳しくなっちゃうんだよね~(笑)」
と言っていたのですが、給料がいいということの裏返しが今目の当たりにした光景なのだと・・・見事に眼前で現実を突きつけられたのです。
恐らくみな鹿児島からやってきたんでしょうけど、2日間もあんな状態で・・・あんな場所に押し込められて!!
そして那覇港に上陸する自衛隊の方々。任務がんばってください・・・
以上が、6月梅雨明け直後の与論島の姿でした。
「沖縄のお勧めの時季は?」と聞かれたら、天気のよさ、海水の温かさ、旅行費用の安さで6月の終盤を推すところですが、今回はまさにベストシーズンの与論島を満喫することができました。やっぱ暑さと天気のよさを兼ね備えてこそ、(沖縄の)離島のよさが際立つというものです!!
記事内には書かなかったことも含めて強く印象に残ったのは、自然や島環境については沖縄とほぼ同質だけど、文化や人の思考には決定的に異なる部分も多いという島の特徴。目にするだけでもそうですが、話を聞くとなお島の複雑な歴史や立ち位置が思い偲ばれます。
皮肉なことではあるけれど、この歴史的背景も与論島に魅力を添える一因でもあるんでしょうね。
那覇からはフェリーで5時間、飛行機で45分。
本島のすぐ近くなのに沖縄とは少し異なる魅力をもった、”東洋の真珠”こと与論島。
こうしてまたお気に入りの島を手に入れた、7月寸前の夏旅でした。