今回はその続編のような形で、
石垣島を愛する私が最もお勧めしたいスポットの紹介です。
石垣島に住んでいる4年間の間に何度登ったことか・・・そして、この年始に登って何度目の登頂だったのか。全ては最後に明らかになりますが、多分これだけここに登った人間もあまりいないんじゃないかと思います。
そう。石垣島に行ったら、ここに行かずにどこに行く。
観光客よ、そして沖縄の民よ。ここを知ってしまったら、もう避けて通れずにはいられないだろう・・・・!
というわけで、今回は私が石垣島で最もお勧めする
野底マーペーにご案内しましょう。
新石垣空港から目指すと、空港を出て国道390号線を市街地ではなく、北に向かって約9km。道沿いに、
見づらいけど『野底林道入口』とある。いや、『野』の文字はない・・
この看板が見えたら、指示に従って車を走らせましょう。
軽にはちょっとしんどい上り坂が続く
私は以前、この道でリュウキュウイノシシとウリボウの親子を見かけました。
ただし地元の人曰く、石垣島のイノシシは純血ではなく、豚と交雑した
イノブタなんだそうです。純血のイノシシは、西表島にしかいないんだとか。本当かな?
(イノシシ親子を見た翌日、職場の同僚に「マーペーの麓でウリボウを見たんだよ♪」と言ったら、
「ウリボウって伝説の生き物じゃないの?」って返された。一瞬思考が止まったけど、今となってはネタの一つだ)
こちら、登山道の入口駐車場(?)。天気がいいとかなりの数の車が来るんですが、そのほとんどが地元住民。実際、どのガイドブックやマップを見ても、ここはあまり魅力的に書かれてないんですよね~・・・
なぜだ。
根元がほどよく破壊されて倒れた案内板
(台風でよく壊される)案内板がある場所から、登山スタート!
ここは一歩足を踏み入れると、内地の山道というよりほぼジャングル。道幅もすれ違うのにどちらかが横で待たないといけないほどで、
台風の後には道がなくなることもしばしば。その後、道復活したな~と思ったら、
道そのものが変わってることがあるんです。いや、本当に。
あと、
沖縄はヘビが冬眠しません。例え夏場でも上下長袖がベター!島ぞうりは色々と後悔するので、やめといたほうがいいです。
登山口から進むこと、約6分。
道が左右に分かれている
そして、案内板
三叉路にぶつかります。案内板に従って、ここは左折。
間違えてうっかり右折してしまったら大変、行きつく先は山の反対側の麓です、要注意!
ここからが大変
三叉路を過ぎて、すぐ眼前に飛び込んでくるのが赤土の急斜面。
もうね、この斜面がキモなんですよ。雨が降って2日以内だと、濡れた赤土がすべるすべる!!3人いれば、確実に1人はつるっと犠牲になります。例えそうでなくても、
見てよこの足元
靴も裾もベットリで、新聞紙を巻いて車に乗るハメに・・・。天気がいい日を選びましょう。
登山を助けるように、ロープがあるのはありがたい
でも、大人数でこのロープを掴むと逆に危険。山ザルを自称できる方は、ぜひロープに手を触れず登ってみましょう。写真ではつかんでますが、基本
私は山ザル派です。
『頂上まで約10分 標高約240M 山水会』
途中でこんな看板も出てきます。まぁ看板といっても、
ズタボロに劣化して足元に転がってるだけなんですけど。。
ところでここに書かれてある『山水会』なる団体ですが。
石垣島と西表島の山と言えそうな場所では、山水会の設置した看板をちらほら見かけます。
はっきりしたことは分からないのですが、石垣島の山好きが集まって結成した団体で、今は結構なお年なんだとか。
こうして何か所も看板を設置して、私たちを励まし、導いてくれる山水会に感謝!
赤土の斜面との闘いは5分ちょっとで幕が引かれます。
かなり空が近くなってきた
ここまで来ると、頂上までもう少し!周囲が開けてきたからって、
見回したら登頂した時の感動が薄れるので、うっかり後ろを振り返っちゃダメですよ~。
頂上だけを見て進むんだ!
こちらも立て看板の意味をなしていない・・
この板に書かれてあるのですが、野底マーペーには、こんな伝説が残されています。
その昔、黒島に住む青年カニムイと美しいマーペーは将来を誓い合った恋人同士でした。
ある日、突然琉球王府からの御触れが出て、マーペーの住む地域の人々は、皆強制的に石垣島の野底に移住させられます。
仲を裂かれたカニムイとマーペー。マーペーはカニムイ恋しさに野底岳に登り、カニムイのいる黒島を見ようとしました。
しかし黒島の方角を向いても、沖縄最高峰の於茂登岳が邪魔をして島影をとらえることはできません。
絶望したマーペーは悲しみのあまり、野底岳の山頂で石になってしまったということです。
(もっと読んでみたい方は、
こちらにどうぞ!)
沖縄によくある、悲恋のお話ですね。
沖縄に残る多くの悲しい伝承は、なぜかそのほとんどは、女性側が涙を流す立場にたっています。
有名な民謡、『安里屋ユンタ』は美女が男をぎゃふんと言わせる話ですが、そんなの私の知る限り稀です。
琉球王府時代には、集落の道で住民を区切り、人々を強制的に移住させる政策がとられていました。その理由は、人口の過剰によるものや、農業政策のために土地がある場所に人を移して労働させるためやら。
この強制移住がカニムイとマーペーのように、多くの恋人たちを引き裂く原因になったことは想像に難くありません。
マーペー遠景。この特徴的な山の形に、何かの伝承があっても不思議ではないよな~
それと、女性側が涙を流さざるをえなかったのは、当時の高級地方役人が中央からの派遣であったことが理由にあげられます。
首里から赴任した役人は、地元の女性と結婚するのだけれども、2~3年の任期が終われば首里に帰らないといけない。しかも首里には残してきた正妻も子もいるから、現地妻は連れて帰れない・・・。
つまり、最初から二股なわけです。現地妻となる女性は、こうなることを承知で結婚したのでしょう。私としては、
しつこく現地妻になれと言い寄る役人に肘鉄をくらわした『安里屋ユンタ』の美女クマヤに賞賛を送りたいところですが。
ともあれ、数多く残されている悲恋の話は、このパターンが多いような気がしますね。
そして、そんな悲しい話が残る場所を、私は「大絶賛する場所」として案内しているわけです。
それはともかく、ここを過ぎたらゴールはすぐそこです!
きたぞきたぞ~~
登山入口から約16分。
あっという間の到着ではありますが、標高284mからの石垣島周辺の眺望をお楽しみください!
北東、伊原間方面。ウミガメが産卵にくる砂浜がある
西南西、川平方面。分かりづらいかな?
南、新石垣空港方面。飛行機の離着陸が見える
北西、野底集落方面。マーペーの住んでた辺り
空が近いぞ!
そして、頂上から360°ぐるりと見回した映像が、こちら。
何度見ても、心が躍るし落ち着くわ~~~~・・・。
その一方、
頂上は本当に岩しかないので、座り心地悪し
我々は、マーペーの体の上でうろちょろしている。
岩肌が軟らかいせいか、掘りこまれたラクガキがみっちり
マーペーは、全身に文字を彫り込まれている・・・。
・・・まぁ、そんな側面もあるってことです。。
さて、時間は1時を少し回ったところ。
天気もいいし、ここでランチといきましょう!
持ってきたのは白保の売店で買ったジューシーおにぎりとササミカツ。
どんな簡素な食事でも、この絶景の中で食べれば極上のランチに大変身!島内には景色を楽しむカフェが多くありますが、ここに勝てる場所はないと言い切りたい。
ただし、高所が苦手な人は注意が必要。
腰が抜けて誰かに引っ張り上げられることになるかも
いつもそうなんですが、ここにくると1時間くらいはお尻に根が張ったように動けなくなります。皆めいめい腰を下ろしてこの絶景を眺めていると、普段より口数が少なくなり、今まさに自然とともにあることを実感しているんだろうなぁと、しみじみするものです。
また、石垣島の民に愛されるマーペーは、披露宴の映像余興にもよく使われる場所なので、
行き倒れのクーバー
こんな撮影もしたことがあるんです。
もし読者のみなさんが登った時に変な人たちがいても、「ああ、余興の撮影やってんだな」くらいの優しい気持ちをもって接してあげてくださいね!
というわけで、野底マーペーからでした
登山開始からおよそ16分でこんな絶景を楽しむことのできる野底マーペー。絶景、絶景と連呼はしても、所詮は小さく切り取られた写真でしか紹介できないのが残念な限りです。
もし石垣島を1周する機会があって、天気が悪くさえなければ是非登ってみてください。こんなにお手軽に絶景を味わえる場所は、沖縄広し(狭し?)と言えど、なかなかないと思いますよ。
もう、現実に帰りたくない。。
今回記事にするために登った2015年1月3日は、
19回目のマーペー登頂でした。
次はいつ登ろうかな~~~~。