年末の記事の最後に書いたとおり、年末年始はカンボジアのシェムリアップで過ごし、初日の出は30年近く行きたいと思い描き続けたアンコールワットで拝むことができました。
年始から沖縄の話じゃなくて申し訳ないのですが、せっかくなので今回はシェムリアップの話にしたいと思います(本当はもっと早めに出せればよかったんですけど・・・遅くなった理由はまたおいおいということで)。
那覇空港を15時過ぎに出発して、上海経由でシェムリアップ空港に到着したのは22時。
日本とは2時間の時差があるので、ほぼ9時間かけてカンボジアにやってきた計算です。ちなみに那覇からうちの実家までは、日中ルートだと13時間かかるので、
実家帰るよりカンボジア行った方が早い計算になります、なんてこった。
飛行機を出ると、目の前に広がっていたのは暗闇に包まれた、降り立ったことのない異国の大地。
すぅっと息を吸い込むと、まだ見ることのできない地から湧き立つ、かつて嗅いだことのない少しほこりっぽい土の香りと、それに紛れるようにうっすら漂う緑の匂いが満ち満ちています。
"・・・こんな匂い、初めてだ・・・本当に知らない場所に来ちゃったんだなぁ・・・。"
そう思い大地の香りを噛み締めるように嗅いでいると、静かな興奮と期待、そして胸を震わせるような感覚が湧いてきたのです。
"なんだろ、これは?この感覚の名前を知っているはずなんだけど、なんだったっけなぁ・・・。"
そして閃きは突如訪れる。
"そうだ、これは中学3年の時に同じクラスの男子のバスケの試合を見に行って、恋に落ちたときとそっくりだ!"
私は今、カンボジアの大地に恋をしてしまったんだ!!
全くご無沙汰なのでこの感情の名前を見つけることにちょっと苦慮しましたが、飛行機から降り立った瞬間にこんなことが起こるなんて・・・嬉しくて嬉しくて、飛行機からターミナルへ向かう道すがら胸がときめいてしょうがないことこの上なし。
シェムリアップ空港はまだ新しく、白と黒を基調としてちょっとオシャレな雰囲気
そんな久々の恋にも似た気持ちを味わってとってもいい気分だったのですが・・・ついた早々、アクシデントが連発したのです。
空港を出ると、お客の名前を書いた紙を持ったドライバーが大挙して待ち構えています。
私の名前はどこだとキョロキョロ見回していると・・・
「あうっ!」
目の前を通り過ぎた西洋女性のキャリーケースにつまづき、
ビターーーンと強烈な勢いで床に抱擁してしまいました。背中には10kgの荷物。起こったコトを瞬時に理解できなかった私はすぐに起き上がることができず、しばらく床と熱い抱擁を交わしておりました。
やっと顔だけ上げて視線を前に向けると、静まり返った迎えのドライバーの視線を一手に引き受けており、
これ以上ないってくらいに恥ずかしい。
起き上がって手に持っていたカメラを確認すると・・・レンズが動かず電源はダウン。
・・・まさか・・・
着いた途端にカメラご臨終ですかーーーー!?
いやだまだ何も撮ってない!!
それに撮影手段はこれしかないのに!
ないのに!!
半べそかきそうになりながらその後3時間ほど格闘し、カメラは奇跡的に復活を遂げ、今もちゃんと健在です。
このカメラ、何度か危機に瀕してるけど必ず復活してくれるのよね・・・エラいコだ。。
宿の食堂
今回主に泊まったのはクロマーヤマトゲストハウスという日本人の集まるゲストハウス。英語が聞けない喋れない私には最も安全な場所で、観光名所へのツアーも格安で手配できるということで選択しました。
しかし、深夜到着してシャワーを浴びようとしたところ、お湯が5ml/sくらいしか出てこない。
全く話にならない。なんとかメイクだけ落として翌日シャワーを浴びようとその日は就寝。
朝起きると、水圧は弱いもののなぜか普通にシャワーが出る。昨夜何があったし。。
そしてメイクをしようと鏡を取り出したところ・・・
8年近く愛用した鏡が割れてしまっていたのです。これは私がコケたのが原因か、フライトで手荷物に預けたのが原因か・・・。
到着早々グッタリすることばかりではありましたが、それ以外のトラブルはほぼ最終日にやってくることになりますのでまた後述。
部屋はツインで一泊12$。ファンが今にも落下してきそうで毎晩冷や冷やモノ
それでは、生まれて初めてのトゥクトゥクに乗って遺跡観光に出発!!
シェムリアップは年間100万人が訪れる観光都市なので街はかなり街ですが、中心を外れると、背の低い草木にビロウのような木々がポツポツと生えている風景が延々と広がっています。
"・・・きっと南大東島も入植してしばらくはこんな感じだったんだろなぁ・・・。"
この風景、なんとなく沖縄を彷彿とさせるなぁ。
と、この時は思ったのですが、この先何度もこれと同じことを考えてしまうことになるとは露にも思いませんでした。
アンコール遺跡群の3日間券、40$
数年前に倍額になったそうですが、また近々倍近く値上げするそうです。
訪れる方からすると「足元見てからに!!」という気分にもなりますが、まぁこうして訪れる余力のある人間にはふっかければいいと思います。
沖縄ももっと見習ってください。。そして労働者の待遇あげろ!
最初に訪れたのはバンテアイ・スレイというヒンドゥー教の寺院。
カンボジアは仏教とヒンドゥー教の勢力争いの地でもあったので、両宗教の寺院が残っています。
聞く限りでは、ヒンドゥー教徒の権力者が仏教の寺院を支配した時には、
仏の顔だけを壊すという嫌がらせとしか思えないようなことをしたそうです。なんだか全損よりも遺恨の残りそうな征服の仕方ですねぇ。
ここの感想ですか?
小さめで赤かったです。
川底が遺跡というクバールスピアン
この遺跡までは自然の中を片道1.5km歩いて行くのですが、やっぱり風景がかなり沖縄に近い。
おかしい。
やってることが普段の休日と全然変わらないじゃないか。。
タ・プローム寺院
ここの寺院はガジュマルの仲間に支配され、その生長で相当部分が崩壊しかかっています。
しかしこの大いなる自然が文明を飲み込む姿はなんとも胸に響くものがあり・・・・RPG好きには最高にテンション上がる情景です(笑
アンコールワット以外はほぼ事前学習なしに来てしまったんですが、このタ・プローム寺院は私の大好きな映画のロケ地でした。読者のみなさんも見たことのあるんじゃないでしょうか?
アンジェリーナ・ジョリー主演の「トゥームレイダー2」です。
このロケーションにどれだけ胸が震えたことか。もう一度見てみよう
トゥームレイダーのララ・クロフトと、バイオハザードのアリスは私が憧れる女性像です。
美しい、賢い、逞しい、強い。
一般的に男性からは嫌厭されるタイプですね(笑
アンコール・トムの象のテラスにて。装飾のガルーダになりきってみた
現在、シェムリアップに残っている遺跡は全て寺院で、王宮は一つもありません。
なんでかな~とは思っていたんですが、時の権力者達は寺院は石造りしたものの、王宮は全て木造だったので現代に残らなかったんだそうです。
この地域では、住むには石造りより木造が適してるんでしょうか?それとも、寺院をお金と労力のよりかかる石造りにすることで、信仰心を表したのでしょうか?
年末年始のカンボジアは乾季。空が澄んで青く、鈍くくすんだ遺跡がカメラに美しく映える
やぁ、初めましてアンコールワット!君に30年近く会いたいと思い続けた私がついにここまでやってきたよ!だから普段は記念撮影なんかしない私も嬉しくって、君と一緒に「ハイ、チーズ」だよ!
写真や映像でしか見たことのなかったアンコールワットが、今私の目の前に・・・興奮というよりもじんわりとした感激が体中に広がった瞬間でした。
9月に酔った勢いでチケットとってよかったぁ・・・。
東南アジアは20,30代のうちに行っとけ、という言葉があるそうです。
お金がかからない貧乏旅行ができるとか、それなりに人生経験積んできた人間には衛生面等環境的に満足できないからかな~、とも思っていたのですが、シェムリアップについてはちょっと違うかも。
どこの遺跡も階段が急で
年取ると観光自体がツラいからだと思われる。。
タイとの国境にある、プレアヴィヒア。遺跡よりも高地から見渡せる絶景が魅力!
ちょうどこの日は地平線上のもやがひどかったので、あまり綺麗に見渡すことはできなかったのですが、もやさえなければ素晴らしい絶景に巡り会えるそうです。
またリトライしよっと。バイバ~イ!
遺跡が穴だらけなのでみんなで入ってみる。一人旅族は全体的に若め、私上から2番目(笑
ここプレアヴィヒアはタイと国境争いをしている地域でもあり、この地から北を見ると、
タイの国旗を掲げてこちらをジッと監視している小屋が。。当然、プレアヴィヒアにも軍服を来てウロウロしているカンボジア兵の姿があります。
ここプレアヴィヒアだけは入場にパスポートが必要。タイ人はお断りなんだそうですよ!
サワディーカップとか言ったらボッコボコにされるんだろね!
遺跡はどこ見てもあまり大差ないので途中から「どこ行っても同じかな」とも思いかけたのですが、アンコールワットに次いで素晴らしいと思えた寺院がありました。
なんという廃墟。
ほとんど崩れて自然に還りかけていますね。
ここはベンメリアというシェムリアップから50kmほど離れた寺院。
アンコールワット等名所になっている多くの寺院は崩壊した状態で発見され、日本を始めとするODAで修復作業を行った結果、現在の形を取り戻しているのですが、ここベンメリアは一部補強されているものの修復作業は一切されていません。
だがしかし、それが退廃的な美を生んでおり私の感性にガツンときたのです!
あの黒い入口に体を差し込めば、そこは足元もおぼつかない暗闇の通路。抜けて寺院内部に入ると・・・
うっはあぁぁぁ!!!!
権力争いの折壊滅的に破壊され、長い長い間、世の全ての人々から忘れ去られていたままの姿がそこにはあったのです。
これは・・・
なんてRPGなんだろう(笑
ゲーム脳の超高速回転が止まりません。この道の先には宝箱とか落とし穴とか行き止まりとかあるんじゃないかってくらい、RPGの廃墟フィールド。そう、今の私たちはリアルRPGの世界にいるんだ・・・旅の途中に酒場(という名のゲストハウス)で出会った仲間と共に、廃墟のお宝探しと深部のボスモンスター掃討だ!!
・・・って、
本気でこっ恥ずかしい妄想をするだけに止まらず、あまりの興奮に近くのコにも妄想たくましいトークを垂れ流してしまいました。
私、いい大人のはずなんだけどなぁ・・・。
遺跡はとりあえずこの辺で終了。
後編は街その他を紹介します。