2015年10月10日
ここに集うは那覇の伝統芸能! 地域文化芸能公演~TSUNAGU~
結局使ったのは、コレだった
うちの社内報は比較的マジメくさったものばかりしかないので、たまには風穴を穿つべし!とばかりにこの写真を載っけて、あまつさえ
「ライターやってるんでネタください」
と堂々と訴える始末。
別に大した反応を期待していたわけじゃないんですが、意外にもメッセージを下さった方が数名いて、何かネタに発展しそうな雰囲気があります。
そのうちどこかでお披露目する機会ができたら、みなさんまたよろしくお願いします♪
先日、那覇市市民会館で開催された集まりに参加してきました。
それは那覇市内の市指定無形民俗文化財が複数公演される、地域文化芸能公演 TSUNAGU。
この日は宜野湾で開催されたOKINAWA FOOD FLEAとバッティングしており、どちらに行こうか一瞬迷ったんですが、前日死ぬほど肉を食べてしまったので食べる系イベント連チャンはさすがによかろうと、ゆったり座って公演を見るに軍配があがりました。
正直、あまり期待せずになんとなく終わるんだろうと思っていたんですが・・・何が何が、もうどれも初めて見るものばかりで心打たれたので、こちらで簡単に紹介したいと思います。
※開演前のアナウンスを聞き逃してしまったため、写真等の掲載が大丈夫か分かりません。万が一、禁止されているようでしたらご一報お願いいたします、即対処させていただきますので。
その1.首里王府の路次楽
・・・は、見ることに集中してしまっていたのでうっかり撮り忘れてしまってます、ごめんなさい。。

別のところから画像引っ張ってきました
路次楽は、かつて明時代に慶賀使(皇帝即位を祝う王朝使者団)として派遣された沢岻親方が明から持ち込んだものと伝えられています。
楽器は、哨ナ(ツォナ)、銅角(ウシブラ)、ウマブラ、太鼓、小鼓、両班、銅鑼と4つは全く聞いたことも想像もできない計7つで構成されています。『哨ナ』は画像検索しても、全くヒットしない!すごいマイナー楽器だ!!
ウシブラの「ボェ~~(低)」にウマブラの「プェ~~(高)」が続く
とても独特で興味をひく演奏だったのに・・・なんで動画撮らなかったかなぁ・・・。
その2.安里のフェーヌシマ
安里のフェーヌシマは、腰にヒョウタンや何やらやたらガチャガチャ音のするものをぶら下げており、動きのたびにすんごい音が鳴り響きます。
即座に連想したのは、ねぶた祭り。ねぶたって、派手に音を鳴らすために全身に鈴付けてるじゃないですか。フェーヌシマも、派手に音を立てて場を盛り上げる役目もあるのかもしれません。
これもね、この写真1枚しかなかったりする!もっと頑張っとけばよかった!!
棒術や上下左右に体を揺らすヒョータン踊りと呼ばれるものがあるようですが、二人一組でクルクル回転するサールゲーイは会場をかなり湧かせてくれました!
・・・見てみたいですか??
フェーヌシマは、安里八幡宮例祭や那覇まつりで見ることができるそうです。もうすぐ那覇まつりですね。また見られるかな?
その3.字国場のウズンビーラ
空手の型から
ウズンビーラは上下白の衣装に、わら縄で作った帯、たすき、鉢巻を身に着け、ヘラを持つというこれまた独特のスタイルをとっている。
鐘の合図で空手、農作業、円陣の踊り、カチャーシーと次々に様変わりしていく姿は変化に富んでいて、見ている人たちを飽きさせない。
鐘の合図で農作業
そしてカチャーシーへ。
カチャーシーの入りは腰をふりふりするので観衆の笑いが起きる。男しかいないのになんでこんなカワイいフリになったんだウズンビーラ。
これがだんだん円になっていく
琉球王朝時代、国王の御前で田を耕す勝負に勝ち、喜び識名園から国場までカチャーシーを踊りながら帰ってきた、その様が芸能化したのがウズンビーラと伝えられているそうな。
持ち込まれて作られたものや農耕作業からというよくある流れではなく、こんなふいなところから伝統芸能って生まれるもんなんですね。面白いなぁ。
その4.首里汀良町の獅子舞
今回、最も興味をもっていたのがこの獅子舞でした。
すでに初期の記事ですが、『首里、ノスタルジック~那覇まちま~い 首里・龍潭通り路地裏ウォッチング~(前編)』で首里を巡った際、汀良の公民館に訪れて、額に横線4本の『王』の文字が入っている獅子をいつか見てみたいものだと思っていたんです。
獅子とドラ役の2体という非常にシンプルな舞台。
しかし夜月が神秘性を添え、ドラと獅子の掛け合いを強く舞台に浮き立たせているように見えます。
額・・・額を見せるんだ!!
この獅子の頭はデイゴで、胴体の色とりどりの毛は芭蕉糸で作られています。
獅子はよくある二人一組の獅子ですが、絶えず尻尾を振り続けているので隣にいた母が、
「後ろの人は大変だ。若くないとできないね」
と言ってました。
・・・果たしてそうか??
獅子の背丈が相当なものなので、獅子頭は常に頭上に掲げられていると考えられ、これもかなりの重労働。私は前の人の苦労を慮ってしまいましたが、どちらも手練れでないと務まらない役回りですね。
荒れ狂う獅子の姿、見てみたくないですか?
その5.首里のクェーナ
パンフの写真を見た時、最も期待値の低かったクェーナ。
パンフにはハッキリと書かれていませんでしたが、元々はそれなりに霊的な力のある女性たちがやっていたものじゃないかと思います。
厳かな雰囲気の中、一切の動作を省いてひたすら何かのために祈り歌われる、神秘的な祝詞。
古い沖縄の言葉なので当然何を言っているのかサッパリ分かりませんが、城や住宅の築造、糸紡ぎから機織・着物仕立てまでの工程、国王への献上物、旅立ちなど生活や儀礼に関わる様々な内容があり、それぞれに独特の節回しがあるそうです。
・・・。
・・・・何かが降臨しそうだ・・・。
全く期待していなかったクェーナですが、あまりの神秘性に全身が囚われて、完全に引き込まれてしまいました。
舞台に立って(座って)いるのは、首里クェーナ保存会。
感動しすぎて、一瞬保存会に入りたくなってしまったほどです。
今日一番の収穫は、クェーナに出会えたことですね・・・
と言わせるほどのクェーナですが、どんなものか聞いてみたいですよね?
ちょっとだけFFⅩの祈り子の歌を彷彿とさせる
とはいえ、まるではないちもんめのような騒がしい一幕も。
竹富島の世迎い(ユーンカイ)を思い出す・・・(動画はこちら)
海で400kmを隔てた竹富島と首里とはいえ、やはり沖縄という地の伝統民俗だけあって、何か共通するものがあるんでしょうか?
その6.泊地バーリー
なんか登場の仕方がカッコイイ
照明が明るくなり、銅鑼に合わせて沖縄らしい舟唄、そして勇壮なハーリーが始まる
泊地バーリーは、かつて旧暦5月4日のユッカヌヒーに行われていたハーリーが一時途絶え、それを復活させたはいいが青年会の力だけでは長続きせず、それに代わるものとして考えられたものだそうです。
まず、復活したのが大戦前の1922年。
そこから形を変えたのはそれほど後ではないことが想像できるのですが、つまり地バーリーは伝統とはいえ形としてはかなり新しいものと言えそうです。
それは本来もっと大人しく控えめであったエイサーが、中部でかつて開催されていたコンテストを皮切りに派手になり、今に至るのとちょっと近いのかもしれません。
母「すごいよ、櫂の動きも止める角度も高さもキレイにそろってる!相当練習してるはずね。」
確かに・・・クェーナのはないちもんめが幼稚園のお遊戯会のように見えてしまうのに比べ、こちらはかなりの時間をかけてしっかり息を合わせています。
『見せる』ことに相当力を注いでいますね、泊地バーリー。
ところで、ここで歌われたのは沖縄版舟唄こと「ハーリー歌」。
以前、漁師のおじさんたちのお手伝いをしたことがあるのですが、その時の漁師さんたちの掛け声がまるで歌のように聞こえたんです。
2011.10 岩手県釜石漁港にて。一緒に2000個も土嚢を作ったんだ
単純作業をただの労働に終わらせず、仲間同士の連帯感を醸造することのできる「歌」や「節」は、きっと国が変わっても必ずどこにでも存在するものなんでしょうね。
その7.赤田のみるくウンケー
以前、DEEの記事を読んで以来見たいと思っていた、出っ腹と青髭が特徴的な赤田のミルク様。
ミルク様の原型は大陸から渡ってきた渡来人と言われていますが、他と比べてあまり渡来人の特徴をお持ちでないミルク様。
しかも足元だけはオランダ人なミルク様。
路次楽隊と共に入場!
再度、路次楽が入場し、ミルク様の前後について恭しく盛り上げます。
♪ パプ~~~~ドンドンドン、シャーン、ドンドンドン。ボエ~~ ♪♪
ミルク行列は子孫繁栄の意味があったと思うけど、どこでも必ず沢山人がついてくるのよね
赤田のミルクウンケーは、元々、旧暦7月16日のお盆時期に行われていた行事。
赤田公民館の弥勒御堂に奉納されているみるく様をお迎えし、沿道を練り歩いて人々に無業息災や家内繁栄を祈願するものらしい。
その元になったのは、なんと福建省から持ち帰った掛け軸!掛け軸に描かれたみるく様を元に面と腹をつくり、行事として行われるようになったそうですよ。
他のミルク様にはこういった具体的なエピソードがないんですが、赤田のみるく様は掛け軸の世界から抜け出て幸福を振りまく存在になったなんて・・・ウズンビーラもそうですけど、芸能ってどんな形から生まれるか分からないものですね!!
八重山で見たミルク様はどれも自立していたけど、赤田のみるく様はそれが難しいようで、要介助状態でした
今回共演している7つの伝統芸能のうち、赤田のみるくウンケーだけは市の指定無形民俗文化財には指定されていません。1930年頃に一度途絶えて、20年ほど前に復活したばかりなので、まだそこまで至らないということなのかもしれません。
これからもその存続について頑張ってもらいたいものです。
そんなみるく様と路次楽の練り歩く姿、見てみたくないですか?
最後は出演者全員が舞台にあがってのカチャーシー。舞台大混雑
公演はあっという間の1時間半で、全然見足りないという感想しか出てきません。
今回見ることのできた全てが、年行事のどこかで行われているはずなので、こうなったらなんとしても直に見に行ってみたいと強く思いました。
直近なら那覇まつりのフェーヌシマ・・・か!?
最後に、今回の芸能を一部だけ動画に残してありますので、ちょっと見てみてください。
カメラを通すと全然よさが感じられないんですが、生で見れば心射貫かれるものが絶対あるはずです。
観光で沖縄にいらっしゃる方は難しいかもしれないけど、沖縄に住んでいる方は是非各地に足を運んでみてください!
Posted by 牧 at 12:28│Comments(4)
│バカルチャー
この記事へのコメント
伝統芸能はとても興味深いですね。エイサーの勇壮さや四つ竹踊りなども好きです。
動画拝見しましたが、どれも見入ってしまいました。特に獅子舞は背も高く、動きも迫力がありすごいと思いました。
沖縄好きで、三板や三線も以前購入したのですが、使いこなせていません(笑)。
伝統芸能はいつまでも後世に伝え残していって欲しいです。
動画拝見しましたが、どれも見入ってしまいました。特に獅子舞は背も高く、動きも迫力がありすごいと思いました。
沖縄好きで、三板や三線も以前購入したのですが、使いこなせていません(笑)。
伝統芸能はいつまでも後世に伝え残していって欲しいです。
Posted by 紅イモ男 at 2015年10月11日 00:17
>紅イモ男さん
沖縄だけでなく、日本各地に残された(そして消えてしまった)伝統芸能はどれも興味深いものばかりです。どこも継承者の確保に苦労しているようですが、沖縄は他地域と比べて興味をもつ人が多いのが救いだと思っています。
>三板や三線
宝の持ちぐされじゃないですか!ぜひ使いこなせるようになってください♪
沖縄だけでなく、日本各地に残された(そして消えてしまった)伝統芸能はどれも興味深いものばかりです。どこも継承者の確保に苦労しているようですが、沖縄は他地域と比べて興味をもつ人が多いのが救いだと思っています。
>三板や三線
宝の持ちぐされじゃないですか!ぜひ使いこなせるようになってください♪
Posted by 牧
at 2015年10月11日 00:39

私が沖縄の伝統芸能に興味を持ったのは、首里城での「舞への誘い」からでした。週に4日無料エリアで見られる観光客でも参加しやすいイベントです。
特に日曜日は生演奏も加わり、凄く引き込まれます。
そこから古典民謡に興味がわき、車の中ではヘビーローテーションです。子供がそのうち、とぅばらーま大会に出る位にならないかなぁと、変な夢を見て押し付けてます。
特に日曜日は生演奏も加わり、凄く引き込まれます。
そこから古典民謡に興味がわき、車の中ではヘビーローテーションです。子供がそのうち、とぅばらーま大会に出る位にならないかなぁと、変な夢を見て押し付けてます。
Posted by req at 2015年10月11日 06:27
>reqさん
「舞への誘い」・・・そんなイベントがあるんですね。恥ずかしながら知りませんでした、日曜日よさそうですね!身に行ってみたいと思います^^
>とぅばらーま
まだあまり自我がないうちから刷り込んでいけば素晴らしい奏者に成長するかもしれませんよ!?
「舞への誘い」・・・そんなイベントがあるんですね。恥ずかしながら知りませんでした、日曜日よさそうですね!身に行ってみたいと思います^^
>とぅばらーま
まだあまり自我がないうちから刷り込んでいけば素晴らしい奏者に成長するかもしれませんよ!?
Posted by 牧
at 2015年10月11日 06:39

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