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2017年07月02日

白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~

 その2からの、続き。
 今回は民俗・歴史特化です。

白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~
本日の宿の敷地内。右がすぐ食堂で左がすぐコテージ。草木しか、見えぬ


白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~
重い背中のバックパックと自転車を置いたら、さっそく近くの与論民俗村に行くことに


白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~

 ここでは、今や沖縄ではすっかり失われてしまった昭和の茅葺き家屋を移築している。
 日本で茅葺き家屋と聞いて真っ先に思い浮かぶのは白川郷の合掌造り。中学生の時目の前にしてえらく感動したものですが、同じ茅葺き家屋とはいえ屋根の斜度が全然違う。
 沖縄は台風の暴風に耐えられるよう、写真のとおりできるだけ平たい造り。合掌造りは雪が積もらないよう、急な斜度ののっぽな造り。お互い逆の土地に存在すれば、ワンシーズンともたないかもしれませんね!
 とはいっても・・・

牧「カヤとはいっても、内地のカヤとはちょっと違うように見えるんですけど」

オーナーおじぃ「はい、これを見てみて!」


白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~

おじぃ「カヤとはいっても内地のカヤとは全然違うよ!3mくらいにまで生長するし茎もふっといからねぇ!」


 イネ科の総称である「カヤ」も、南国ではこれだけ巨大化する。根本に近い部分なんかカヤとは思えないほどぶっといでしょ?まるで葦かなにかのようで、これは屋根にしがいがある。


白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~
竹製の謎の円が・・・

牧「・・・あれは一体なんだと思う?」

ちぃ「そうですねぇ、土俵でしょうかぁ?」


 聞こうと思っていたけど結局聞けず終いでした。本当に、一体なんだったんだろうなぁ・・・。


白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~
すごい数のアラヤチ(荒焼)だ!!

 私、この光景を見た瞬間、京都の三十三間堂を思い出さざるを得ませんでした。ピンとこない方はgoogle先生に聞いてみてね!

おじぃ「与論島は沖縄との文化や物資の交流が盛んでね。このアラヤチも、屋根瓦も、泡盛も、全部沖縄から運ばれてたものなんだよ。与論ではどれも作ってない!でも沖縄戦後に分断されてからはお互い外国になって、物資の流れが途絶えてね。だから焼き物は入ってこなくなったし、泡盛は消えたし、赤瓦屋根の家もなくなったわけさー。」


 アラヤチ、泡盛、赤瓦・・・全て沖縄文化を形成する大切な要素です。自ら沖縄的なものを排除したという側面もあったかもしれませんが、文化の断絶はもしかするとそれ以上に大きかったのかもしれません。 

おじぃ「それとね、与論島には酒造所が一箇所だけで黒糖焼酎を造ってるけど、昔はこれ密造だったんだよ!以前は沖縄でも黒糖焼酎造ってたけど、それも密造だったわけ。日本のどぶろくみたいなもんかねぇ。」


白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~
コープで売られていた島唯一の酒造所、有村酒造の島有泉。一升瓶2本セットが標準らしい。与論島民は相当な酒飲みのようだ

おじぃ「そういえば、沖縄がまだアメリカに占領されてた時ね。中学生の男の子が沖永良部島のおばぁに会いに行こうと動力付きのサバニに乗って向かったんだけど、米軍に見つかって拿捕されたことがあったなぁ。それもこの島の歴史さぁねぇ。」


 どの要素もにわかには信じがたい、復帰前の国境の島の話でした・・・。

 民俗村を経営している家族は、島で唯一芭蕉の織物を生産している家族とのこと。今私たちに話をしてくれているおじぃは民俗村の敷地内に家族と住んでいて、祖母、妻は実際ここで糸を紡いで織物をしているんですって。一般的には芭蕉布は分業で作られていますが、彼女たちは繊維を取り出すところから仕上げまで全て一人で出来る、貴重な人材だそうですよ。


白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~
ちょうどフクギを煮た汁で芭蕉布を染色してた

白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~
まぁ現代なのでいかにも現代的な染料も使っているようですが

 さて、一通り見学が終わって休憩所でゆくっていると、気になるものが目に飛び込んできました。

 
白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~

牧「菊・・・さん?」

ちぃ「名字が一文字ですぅ。」



白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~

牧「こっちは、山さんだ!」

ちぃ「与論の人は名字が一文字なんでしょうかねぇ?」



白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~
こちらは里さんのお宅なんだろう

 島内で何気に目にとまる名字は、なぜか一文字が多い。かつて、奄美の人間はそれと分かるよう、姓名の改変が行われた歴史があるらしく、それがこの一文字名字なのだそうな。確かに、即分かるね。
 逆に、沖縄最西端の与那国島は、四文字名字というか、余計なものが頭についてるものが多い。"入"慶田盛(いりけだもり)とか、"上"与那原(うえよなばる)、"後"小橋川(ついこばしがわ)・・・生きていればその場で何度も名前を手書きしないといけない場面は何度もありますが、まぁこれ面倒くさいことこの上なしでしょうね。これなら一文字名字の方がよほどいいわ。


白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~

牧「これは、『山 田一郎』さん?」

ちぃ「牧さん、普通に読んでくださぁい。。」



 島にはもう一つ、与論の文化を学ぶことのできる場所があります。


白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~

 それがここ、島の最高峰付近にあるサザンクロスセンター。
 南十字星といえば波照間島が有名だけど、与論島は日本ではそれが見られる最北端らしく、それでこのが名前つけられたらしい。
 けど・・・多分肉眼ではまず不可能に近いんじゃなかろうか・・・。


白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~
晴れた日の眺望は全く最高の一言

 この建物のウリは島を一望できるこの景色のようですが、文化スキーの私としてはやっぱり展示を推したいところ。気になったところを紹介しましょう。


白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~

 与論島には国指定重要無形文化財である『与論島十五夜踊り』がある。普通、このテの行事は年に1回と相場が決まっているが、なんと年に3回も披露されるというちょっと変りダネ。旧暦3,8,10月の15日に演じられるので、タイミングがあえば見ることもできるかもしれませんね。
 この龍は、踊りで使われる太鼓の脇に立てられる旗に書かれたもの。龍っていうか・・・胴体が何かのみたいに見えるんですけども・・・。


白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~
踊りで使われる衣装

 十五夜踊りの特徴は、大和風の狂言と琉球風の風流踊が交互に踊られるところ。この衣装は大和風なんだけど・・・飾られている姿だけ見ても大和の要素がどこなのかよく分からないよ。白装束とか?ホトケサマなの?
 むしろノロの正装を彷彿とさせる。あと、沖縄の離島にこーゆーのありそう。


白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~
そしてこちらが琉球風の衣装

 琉球風・・・布が?ってこと??
 顔を隠しているあたりは石垣島の旧盆行事、アンガマの子孫役に似てるんだけども・・・。
 どう見ても何かの秘密結社か何かじゃないですか。。


白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~
アンガマの子孫役。お面以外で顔を隠すのは沖縄では珍しい

 与論島ではないけど、目の前にして一番嬉しかったのはこちらでしょかね。


白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~

 トカラ列島、悪石島のボゼ。
 ボゼは『ボゼマラ』という汚れた棒を持って主に女子供を追い回し、棒の泥を人に塗りたくるそうな。これが悪霊払いと子宝に恵まれる、ということなんだけども・・・だいぶヒワイですね、ボゼ。まるで男のサガの象徴とでも言わんばかり。。泥を塗って悪霊払いは宮古島のパーントゥと共通する部分でしょうか。
 ボゼは終わると捨てられて朽ちるのを待つそうなので、これはレプリカなんでしょうけれど、ボゼは一度見てみたいと思っていたので、ここでの出会いはかなり心躍りました。ヒワイな目にもあわないし、これくらいの距離感がちょうどいいですね。

 
白と青と緑。美しの島、与論島 ~その3は民俗・歴史編~
そして昭和中期の島の体育祭のいち場面

 昭和中期でまさかのこの未開の地の原住民のような姿!終始この格好で体育祭やってたとかじゃないよね?高知県民が体育祭によさこい踊るみたいに、地域地域の踊りを披露する時間と同じ、アトラクションか何かですよね??
 そうじゃなかったら後ろに向かって倒れるほどに驚愕する。。


 面白いものは他にも沢山あるけど時間がないので以上にしておきます。
 お次で最後、その4に続く。 



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この記事へのコメント
お久しぶりです。
与論ですか。
沖縄なのか、鹿児島なのか(文化的に)、違いを見つけるのが面白そうで、行きたくなりました!

ちなみになんですが、下から7枚めの写真に写っている神社には行かれたんですか?
Posted by Tomo!Tomo! at 2017年07月23日 18:58
>Tomo!さん
お久しぶりです、お元気ですか?
与論島は沖縄と鹿児島と、色々と混じり合っている場所ですね。文化的には沖縄なので、戦後かなり鹿児島ナイズされてる感あります。。
>神社
よく見てるね~~!そう、ここには神社があるんです。ここは琴平神社で、この近くには高千穂神社が。神社の名前は全部内地でした。ただ、今回はどの神社にも行ってません。理由は、、、色々かな(^^)高かったりとか、ね?自転車ですから!!(笑
Posted by  牧 at 2017年08月02日 22:22
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