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2014年09月23日

普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう

 読者のみなさん、こんにちは。


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
珍しく緊張の表情。


 私は今、ある場所にいます。

普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
ずっとサイトを見ている人はピンときたかもしれません。


 ここは、那覇市内うみそら公園近くにある海の前です。
 1月に参加したみなとま~いで、この場所に気になるものを見つけた話をしたかと思います。


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
こ れ だ。


 ここは那覇浄化センター前の海。
 那覇浄化センターとは・・・

 中部流域下水道の処理場の1つ。現在、那覇市、浦添市、豊見城市、南風原町の4市町村から1日に約129,350立方メートルの下水を受け入れている。(平成23年度実績)愛称は、みずクリン那覇。(沖縄県HPより)

 『愛称は、みずクリン那覇』・・・。人に嫌悪されるタイプのモノや施設には可愛らしい愛称がつくという法則がありますが、この施設も例に漏れてないようです。


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
外からは想像つかないほど敷地が広い。(沖縄県HPより)


 先ほどの海上に湧き立つ渦のようなものは、処理済の水が海に還っている姿なんですね。
 水は沖縄では貴重な資源。下水処理水の一部はさらに高度処理されたうえ、沖縄県立博物館・美術館、那覇新都心メディアビル、県営天久高層住宅等の公共施設に再生水として供給されているらしいです。全部新都心だ。

 せっかくなので、このもうもうと吹き出す様を動画で見てみてください。





 ・・・私は思ったんです。
 あの海の中にはどんな穴があって、どんな風に水が噴出しているのか見てみたいものだなぁ・・・。


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
そして今に至るう○こ座り。マスクを着けて数分経過後、未だ海に入れず。


 なぜ私が好奇心を満たすための行動にここまで躊躇しているのか?理由はつまり、こうだ。

 一つ。どう考えても泳ぐ場所じゃない。目の前は航路で、頻繁に観光船や漁船が往来している。見つかれば怒られること請け合いだ。30過ぎてこんなくだらないことで怒られたくはない


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
海を眺めている間に2回も通った遊覧船オルカ号。


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
しかも目の前でおっさんが釣りしている。ちょっと、頻繁にこっち見つめないで!


 二つ。ちょうどこの時間は大絶賛引き潮中。近くとは言え、フィンなしで噴出口まで行くのはかなり勇気がいる。頼りない泳ぎだけで無事帰ってこられるのか・・・。

 三つ。この周辺は下水処理場の前であるため、かなり汚いものを連想させるニオイがする。
 このニオイは、処理場から運ばれてくるものなのか、はたまた処理水が投入されている海からするものなのか・・・。後者だとすると・・・処理済みとは言え、臭う水の中に飛び込まないといけない。あぁ、これは精神的にかなり苦しい!!

 ・・・みなさん、通称『う○こダイバー』なるものを知ってますか?
 汚水管が不具合を起こした際に管内に潜って作業をするという、私的に最もやりたくない仕事の一つです。この状況は、それを連想させるのです。


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
とりあえず、前に出よう。


 なんというか・・・。
 このサイトを立ち上げてからは各所で意気揚々と遊んできましたが、これほど気乗りしない、どころか、心が折れそうな場面は初めてです。
 私の大好きな羽生結弦くんは、オリンピックの舞台に立って「足が震えた」と言ってました。私はこの海を目の前にして足がすくんでいます。人間的格差のなんたるや。。

 いっそやめてしまおうか・・・いや、この8か月ずっと気になってきたことをついに明らかにする時がきたんだぞ!
 止まらない好奇心に、折れそうな心。
 私の心が激しく葛藤を起こします。


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
色々考えてながら汚海を見つめていると、あっという間に時間が経つ。


 あ、釣りをしていたおっさんが姿を消した!漁船も遊覧船も今過ぎたばかり!
 ・・・そう、行くなら今しかない!

牧「よし・・・行ってくる!!」


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
意を決して、水中へ・・・


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
ぎゃっっ!!


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
牧「ちょ・・ちょっとタンマ!一時退散!!」


 顔をつけた瞬間、あまりの水の汚さ加減に驚いて、思わず水から飛び出てしまいました。
 だってそうでしょ?沖縄にきて、こんなに汚れた水に入ったのは初めてです。


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
しかし・・・私に『やっぱり辞める』という選択肢はないのだ。


 ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・ふーーーー・・・。



 息は、調った。
 ハラも、くくった。


牧「よ~し!今度こそ行ってくる!」


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
せいっ!!


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
右手に水中カメラを携え、まずは足だけで目的目指してまっしぐら。


 今思い返しても、この時はひとえに『必死』で、何も考える余裕がありませんでした。
 余裕がなさすぎて、シュノーケルつけてるのにくわえるのを忘れていたほど。
 ハタと気がつきマウスピースを咥えようと口を開いた瞬間、私を包む汚水が口に流れ込んできた。


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
ガボガボガボガボ・・・


 鼻呼吸できないものの、口内の粘膜で感じ取った香り。
 それはまさに、下水そのものであった。

 おっげぇぇぇ・・・・。


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
だいぶ近づいた・・・が、噴出口を見失った!


牧「どこにある!?」

カメラマン「だいぶ左ですよ、左!まだ先!」


 海中では気づきませんでしたが、かなり下手に流されてますね。
 カメラマンの声に従って、さらに噴出口を目指します。

 しかし。


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
透明度は恐らく1m未満。


 進めども、進めども、我が道楽にならざり。
 ぢっと(行く)手を見る。

 ・・・・。


 もう・・・ダメだ!!



普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
カメラマン「あ、帰ってきた。」


 『恐怖心とは、自らが作り出す虚像ゆえに、克服することはそんなに難しいことじゃない。』
 最近、友達に偉そうにこんなセリフを言ったばかりですが、『if・・』ではなく、リアルに迫る危険に対する恐怖心はそう簡単に克服できるものではありません。

 全くよくならない視界。下流に流されそうになる感覚。そして汚水にまみれているという事実。

 人が恐怖心を抱くには十分すぎる要素じゃないですか。

 噴出口にはかなり近づいたのですが、透明度1mを切る海中では、全くそれらしいものを捉えることができませんでした。

 残念。私の挑戦は、ここに幕を閉じたのだ・・・。



普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
とりあえず、無事生還できたことが嬉しかった。


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
一安心したので、撮った映像を一生懸命確認中。


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
全身汚水だらけだ。くまなく洗い流せ。。


 普段海に行くときは2Lなんですが、今回は臭うことを想定していたためリュックに4Lの水を詰め込んでもってきました。足が自転車じゃなければもっと持ってきたかったな・・・石鹸水とか。
 必死で全身を洗い流して、今回の調査は終了。


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
全て終わって満面の笑み。


 まぁ、結果としてはここしばらく私の心を煩わせていたものの正体を露わにすることはできなかったわけですが、一つ勉強になったことがあります。

 『過ぎた好奇心は持つべきではない』ということですね。

 『好奇心は猫をも殺す』という言葉があります。9つの命をもつ猫ですら、好奇心に殺されてしまうという意味ですが、人の命は1つしかない。いわんや人をや、です。

 今回の試みは、倫理的にも、物理的にも、やっていいの度を超していたと思います。
 もし浄化センターとか、海の仕事をしている人がこの記事を見てしまったら、現行犯じゃなくとも大目玉を食らうこと間違いないと思うんです。
 でも、公開します。
 それがオモローハンターの(不要な)プライドでもあるので。
 ただの好奇心一つでここまで動けたのは、今後のいい思い出になることでしょう・・・。

 読者のみなさん。
 結果は得られませんでしたが、ここまで読んでくださってありがとうございました。
 今後もおバカな私をご愛顧ください。。






おまけ。


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
今回のカメラマン。


 実はこの子、先日竹富島の高那ユースホステルで知り合った、北海道は室蘭から来ていた大学3年生のチャリダー。
 那覇に帰って来て5日後、家の前のコンビニに入ったらこの子がいたんです。。

 なんという偶然。

 ここで会ったが100年目も何かの縁、ということで、その日は半ば強引にうちに泊まってもらいました。
 そして翌朝、カメラマンとしてこの場所まで着いてきてもらったんですね~。

 Uくん、大事な旅の終わりに私の無茶なお願いを聞いてくれて本当にありがとう。
 君は私のように道を踏み外した大人にならないでね・・・。




****追記******
 下水の処理レベルと、利用について言葉が足りなかったので、少し補足説明しますね。

 下水は浄化センターで処理された後、排出してもよいレベルのものとして海に流されます。これが私が今回海に入った段階の水ですね。

 話が少し変わりますが、東京の隅田川は河口付近を流れる水は9割がなんらかの形で処理をされた水です。海に注ぐまでの過程で、何度も取り水されては処理・排水の流れを繰り返しています。大都市の人口を賄うためとはいえ、9割が処理水とは驚きの現実じゃないですか?

 そして、排出レベルからさらに高度な処理を施された水が、一般的な再利用水。
 みずクリン那覇から排出された再利用水は、新都心の植物や公園への散水、そしてトイレを流す用の水として使われているんですね。

 さて・・・読者のみなさんの中には、私と同じく嗅覚が鋭く、日常生活がちょっぴり不便な人もいるでしょう。
 この再利用水・・・やっぱりそれなりにニオイを感じませんか?
 私は感じます。水は動くとニオイが顕著になるので、散水となるとよくよくニオイが鼻につくものです。ちょっと触れるには微妙なラインですよね~~。

 しかし、一般に海中に排出される水は、その前段階のもの。
 私は今回の試みで、この触れるのに微妙水の、さらに手前のラインの水に全身を浸したわけです。
 ま、最終的に薄まるからいいんですよ。適度に含まれた有機物は、最終的にお魚の栄養になって、私たちの食卓へ・・・ということですね。


普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
散布用の再生水は大腸菌を滅しているようですが、排出水はまだ生きているようです。だから夜ちょっとお腹壊したのかも・・・。(沖縄県HPより)




【サイト内の水に関する記事一覧】
・週中コラム ~それでも沖縄の水が日本一まずいと悟った日~
・古都に求める真夏の涼 ~那覇まちま~い 首里城下町物語 湧水を訪ねて その1~
・普段は隠れて見えない、ちょっとニオう穴を覗いてみよう
・【人体実験】沖縄の水で変化する髪の毛に驚きが隠せない
・沖縄に存在する『飲む岩石』



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この記事へのコメント
処理水って、そんなに臭くきたない水なのですか?新都心のトイレで流す水は臭くないですよね。
海に放水するのと新都心で再利用する水は、処理方法に違いがあるのでしょうか???海に流す水の方がきたないとしたら、海を汚してるってことですか?なんだか変!
Posted by 庚子(かのえね) at 2014年09月23日 09:14
勇気ある挑戦に感服しました。まさか飛び込むとは驚きです。先日、牧さんが以前歩かれた小禄の住宅街を探索しました。傾斜地の住宅街を汗を流して歩きながら、やはり牧さんの好奇心の旺盛さには驚かされた次第です。これからも命を落とさない程度に挑戦していただき読者に勇気と元気を与えてほしいです。
Posted by ダイスケ at 2014年09月23日 09:51
>庚子(かのえね)さん
処理水については追記したのですが、つまりはそういうことです。
今回私が入った海よりは、トイレで流れる水の方が綺麗という事実(笑 多少の有機物は海を汚さず、自然と循環のサイクルにのってるってことですねぇ。。

>ダイスケさん
初コメありがとうございます(*^▽^* 本島在住なんですね。
私の歩いた個所を参考に散策されたとのことで、大変嬉しく思います!こういったコメントが活力と励みになります!
ダイスケさん自身で気になるところがあれば、ぜひ好奇心に身を投じてみてください。きっと日常とはかけ離れた新たな世界と視点が待っているはずですよ~~。。
あ、つい先日までは『ガンガンいこうぜ』だったんですが、たまには『いのちだいじに』も掲げていこうと思います^^;
Posted by  牧 at 2014年09月23日 14:36
牧さんしっかり読まずにコメントしたため、追記までしていただき申し訳ありません。処理水についてちゃんと理解することができました。
都民の水道水は、基本、多摩川水系と利根川(江戸川)水系から取水しているので、隅田川の水は使ってないはずです。実家の亀有は江戸川水系でした。銀座辺りは江戸川水系で六本木辺りは多摩川水系だったと思います。
Posted by 再び庚子(かのえね) at 2014年09月23日 17:49
>庚子(かのえね)さん
あ、うっかりしてました。。荒川ですね、なぜ隅田川(笑
大都市はあの人口を賄うために、水を取っては還し、取っては還しを繰り返しているんですね~。
ちなみにこの話は10年前に聞いた話なので、ちょっとうろ覚えです。。もしかしたら齟齬がある点があるかもしれませんが・・・ご了承くださいまし^^;
Posted by  牧 at 2014年09月23日 18:02
タイトルと前半の記事だけ見たら、牧さんの変態な面が見れた気がしてテンションが上がってしまいました(笑。
最初は笑って読んでましたがこれは大事なことなんだなーと、沖縄だけでなく日本、いや世界規模の壮大な水物語に通ずる穴なんだなーと感心しました。
おバカでためになります。腹痛まで・・・体張って伝えてくれてありがとうございました(笑
Posted by はまぼん at 2014年09月23日 21:50
>はまぼんさん
ありがとうございます、変態と言われようが動じませんよ(笑
普段何気に使っている水ですが、執心するものより気にならないほどのものほど重要度が高いですよね。水に空気。
この見えなかった穴から、地球を巡る水物語を少し想像してもらえれば、お腹を壊した価値があったというものです!
Posted by  牧 at 2014年09月24日 19:44
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